作家の乙武洋匡氏(44)が3日にスタートしたオンライン映画祭「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭―世界はいろいろだから面白い―」(10日まで)メディア発表会に出席した。

 日本財団が主催する「True~」は障害、性、世代、言語、国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭。誰もが居心地の良い社会の実現を目指している。

 昨年からアンバサダーを務める乙武氏は「映画を通じてダイバーシティに触れていただける機会ができました」と話す。

 コロナ禍では健常者、障害者共に、価値観が大きく変化した。車いすで登壇した女優の佳山明は「私自身、様々な人と関わるのが必須なゆえに、コロナ禍の生活が難しさを感じました」とコロナ禍での生活の難しさを語った。

 乙武氏は「私もですが、障害者は移動に困難を抱えているので、コロナ禍で移動がなくなったのはプラスだと思っていたんですが、健常者より障害者のほうが変化を感じた割合が大きかった。ここに学びがあると思います」と分析。「これまで『濃厚接触を避けてください』と言われてきましたが、僕らの生活は濃厚接触を避けられると、生活できない。我々を介助してくださった方々に精神的な負担をかけていたと思います」と振り返った。

 コロナ禍での障害者にとっての「エンタメの役割」もテーマとして取り上げられた。

「コロナ前であっても健常者のみなさんほど、コンテンツを生で楽しめる機会は制限されていた。ただ、このコロナ禍でみんなが制限されたことによって、オンラインで芸術に触れる機会が増えた。これは非常にありがたいことだったんです」と乙武氏。「もし、コロナ前のように戻れるようになっても、戻れない人たちもいて、(オンラインは)オプションとして残っていく、ということはぜひお願いしたと思います」と訴えた。

 同映画祭では「世界は1つの家族」をテーマに、アジアをはじめ世界の才能ある映画監督が制製作した、障害、女性のエンパワーメント、アイデンティティー、貧困と逆境、人種差別などダイバーシティ&インクルージョンの様々な課題を扱った作品、全28本を厳選。オンライン映画上映プラットフォームにて無料配信される。