中国やはりWHOに圧力? 独週刊誌が報じた中身

2020年05月12日 17時00分

3月10日、武漢市内の病院を視察する習近平国家主席(新華社=ロイター)

 やはり中国は世界保健機関(WHO)に圧力をかけていた!? 新型コロナウイルスの爆発的感染が武漢を中心に拡大していた1月中旬、中国の習近平国家主席が、WHOのテドロス事務局長と電話会談をしたという。その内容が「パンデミック宣言を遅らせるように」と求めた――。こんな情報をドイツ諜報機関が入手したと暴露したのは、独有力誌「シュピーゲル」だ。欧州最大の発行部数を誇る同誌がスクープした中身とは?

 シュピーゲル誌はドイツ連邦情報局(BND)が収集した情報として「習氏は1月21日に、テドロス氏と電話会談をして、新型コロナウイルスのヒト・ヒト感染についての情報拡散を控え、パンデミック宣言を遅らせるように圧力をかけた」と報じた。

 1月21日は、すでに武漢で新型コロナウイルス感染が蔓延しており、都市封鎖が始まるわずか2日前だった。その翌月には欧米や中東、アジアにまで感染が拡大。世界的大流行が始まった。

 3月になるとスイス・ジュネーブにあるWHO本部で連日、定例記者会見が開かれ、各国の記者がテドロス氏に「いつパンデミック宣言を出すのか?」という質問を繰り返した。そうした中、WHOがようやくパンデミック宣言を発表したのは、3月11日のことだった。

 この時、新型コロナの感染はすでに114の国と地域に広がっており、同12日の感染者数は世界で約11万8000人、死者は約4300人に達していた。

 シュピーゲル誌によると、BNDは中国の隠蔽工作により、各国の新型コロナ対策が最大6週間遅れたことになると結論づけている。

 もしもこの情報が事実ならば「初期段階で中国政府が情報を隠蔽せずに公開していれば、感染を早期に封じ込むことができた」とする欧米各国の主張を裏付ける可能性もある。

 また、中国政府の意向に沿ってパンデミック宣言を遅らせたとしたら、WHOの責任も問われることになるのは間違いない。

 欧州では最大の発行部数(毎週約110万部)を誇る、有名なニュース週刊誌シュピーゲルの報道だけに、他国のメディアも無視することはできない。米紙ニューヨーク・ポストや英紙デーリー・メールなど、複数の有名欧米メディアが大々的に報じている。

 そんな中、WHOは同誌の記事について「根拠がなく、事実ではない」と否定する声明を発表した。その内容は――。

「テドロス博士と習氏は1月21日に話し合いをしておらず、これまで電話会談をしたこともない。このような事実誤認をした報道は、WHOや世界各国の新型コロナウイルスを収束させるための取り組みを妨害するものだ」

 さらに「中国は新型コロナのヒト・ヒト感染について、(電話会談があったとされる前日の)1月20日にはすでに認めており、WHOは1月22日に武漢で同様の感染があったことを公表している」と反論。だが、パンデミック宣言の遅れについては、声明の中で触れられることはなかった。

 一方、中国外務省も当然のように「新型コロナ感染について世界の各国に適宜で、公正かつ透明な注意喚起をしてきた」と主張した。

 WHOに関してはこれまで、米国が最大の資金拠出国だったが、トランプ大統領は先月、新型コロナへの対応が中国寄りだとして、当面の間WHOへの資金拠出を停止すると発表した。現在は「中国、WHOのタッグVS米国など西側諸国」で敵対している構図だが、その真っ向対立がますます際立ってきた格好だ。