アベノマスク受注「ユースビオ」の怪しい実態

2020年04月28日 17時00分

配布され始めた“アベノマスク”

 妊婦用の「アベノマスク」の受注業者4社のうち、謎に包まれていた残り1社が福島県福島市の「ユースビオ」であることが27日、公表された。同社の外観はまるで平屋の一室。隣接する企業は「人の出入りはほとんどない」と証言する。しかもユースビオの代表は2年前に脱税容疑で有罪判決を受けた人物。一体、どのような経緯で同社が受注先に選ばれたのか――。

 妊婦用に配布された“アベノマスク”に虫の混入や変色が見つかった問題で、菅義偉官房長官は27日、これまで公表しなかった4社目の調達先が福島市の「ユースビオ」であることを明らかにした。

 菅氏は会見で「25、26日に改めて確認を行ったところ、ユースビオからの納入分についても配布されていたことが確認できた」と公表。ネット上では1社だけが未公表だったため「また安倍首相の“お友達”なのでは?」と騒がれていた。

 ユースビオとはどのような会社なのか?

 インターネットで検索しても、ホームページはおろか、連絡先も出てこない。法人登記も今月中旬に変更手続きを行ったため、まだ記録に反映されていない状況だった。

 グーグルアースで住所をたどると、所在地にあったのは計11社が横並びで入居する平屋のような建物。その“一室”がユースビオだったのだ。窓には公明党のポスターが張られていたため、ネット上では“ゴリ押し説”が広まっている。

 妊婦用布製マスクは、興和(名古屋市)、伊藤忠商事(東京都港区)、マツオカコーポレーション(広島県福山市)が納入。3社の本社ビルと比較すると、ユースビオのたたずまいは異質だ。

 信用調査会社などによると、同社はバイオマス発電向けの木製ペレットの輸入会社。2017年8月に設立され、従業員は5人というが…。

 同社の隣に入居する建設会社の従業員は本紙取材に「人の出入りを見たことがない。強いて挙げるなら、社長とおぼしき男性だけ。一体何の仕事をやっているかも分からず、今回の報道を見て驚いている」と話した。

 しかし、ユースビオの樋山茂社長(58)はメディアの取材に「国との癒着はない」「癒着があったら、もっと高い値段で売っている」と豪語。同氏はベトナムにパイプがあり、同国の工場を通じてマスクの大量生産ができることを、かねて福島県議らに提案していた。

 3月上旬、福島県から「調達は国一括となった」と連絡があり、経済産業省などにサンプル品を送り、納入が決まったという。他方で福島県の担当者は同社へのマスク発注を否定している。

 樋山氏は納入した約350万枚のマスクについて「70回以上洗っても抗菌性が落ちない」とアピール。1枚135円で受注したそうで「うちは他社より断然安い」と強調している。

 その樋山社長だが、2018年に別の会社で消費税約3100万円を免れた脱税容疑で国税局に告発され、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けている。

 事情を知る関係者は「当時、樋山は政治家の名前をうたって、ブローカー気取りだった。ほぼ実態のない会社を複数持ち、そこを利用して脱税していた。手口を見る限り、指南役がいたと思われる」と明かす。

 国が公表に二の足を踏んだのも、“身体検査”をしたらヤバイ話が出てきたから?

「週刊誌は今週から続々と合併号休みに入る。このタイミングで4社目を公表したのも、計算の上だろう」とはテレビ関係者。

 現時点でユースビオのマスクから不良品は発見されていないが、コントのような展開になりつつあるのも事実。果たして血税460億円の使い道は正しかったのか――。