故郷・尾道の“立役者”大林宣彦監督死去 最新作映画公開予定10日に

2020年04月11日 17時00分

「ねらわれた学園」で主演・薬師丸ひろ子(左)に演技指導する大林監督

“尾道三部作”で知られた故郷の立役者だった。

 映画監督の大林宣彦氏が10日、東京都内の自宅で死去した。82歳。2016年に肺がん(ステージ4)で「余命3か月」の宣告を受けたものの、活動を続けてきた。

 17年公開の「花筐/HANAGATAMI」で日本映画ペンクラブの「2017年度日本映画ペンクラブ賞」を受賞。翌18年の贈呈式には両脇を支えられて登壇。つえを片手に、盾を受け取り「あの戦争で殺されなかった、自決もしなかった。ここまで生き延びて、がんごときでは死ねない。あと30年は生きて映画を作ろうと思っています」と語っていた。

 最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は当初、4月10日が公開予定だったが、コロナ感染拡大の影響で延期が決定(公開日未定)。大林氏はスクリーンで見ることがないまま、その日に天国に旅立った。

 大林氏といえば、故郷・尾道をロケ地とした“尾道三部作”をヒットさせたことで有名。日本中で再開発が進められた時代に、尾道の古き良き町並みを知らしめた。

「『転校生』(82年)が公開された時、最初は『さびれた町をさらされてしもうた』と地元の大人たちは激怒したんですが、その後も『時をかける少女』(83年)、『さびしんぼう』(85年)がヒットし、全国から『あの石段を上ってみたい』とロケ地巡りの若者がどっと来るようになった。その後、映画やドラマのロケ地によく使われるようになったのも大林監督のおかげ。尾道の良さを世界に知らせてくれた偉大な方」と尾道市関係者。

 大林氏は少年時代から個人映画を撮り始め、1960年代はテレビCMの制作者として知られた。商業映画の監督デビュー作は77年の「HOUSE/ハウス」だった。

 同作が初主演映画となった女優の池上季実子は本紙の連載で「私はデビュー4年目でしたが、未熟で、大林監督の独特の演出にも戸惑いました。『とにかく笑ってくれさえすれば、こちらで判断します』と。時代感覚を先取りした大林監督のデビュー作に主演できたことは良い思い出となっています」と振り返っていた。