オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第51回は「100円ババア」だ。

 自動販売機のジュースが1本100円だったころの話である。千葉県内の某国道の自販機でジュースを買おうとした時に「100円ちょうだ~い」と言いながら、出現した妖怪が「100円ババア」だ。

 生前、ジュースを買っているときに車にひかれ、死亡してしまった人の霊が妖怪化したとされている。ババア系妖怪だが、「100キロババア」や「ターボババア」とは違って、アクティブではない。

 現在、自販機のジュースが1本あたり120円から160円ほどに値上がったために、100円ではなかなかジュースを購入できないという状況である。100円で買えるのは水ぐらいであろうか。

 したがって100円ババアは永遠にジュースが購入できないのだ。ある意味、悲しい妖怪だ。物価上昇の犠牲者ではないだろうか?