【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑343】豊漁と豊作を約束してくれる!? 江戸時代に出現した「豊年魚」

2020年01月03日 12時00分

江戸時代に描かれた錦絵

 未確認生物(UMA)といえば、出現すると不吉なことが起きると言われている「モスマン」しかり、不気味な伝説とひも付けて語られることが多い。

 確かに未確認生物には不気味な見た目のものが多いため、あまり良いことは連想しづらいのかもしれない。洋の東西を問わず、昔から奇妙な生物の出現は吉兆よりも凶兆と見なされることも多かった。未確認生物にもマイナスイメージがつきまといがちなのは一種の伝統なのかもしれない。

 だが、今回は新年一発目の記事である。どうせなら縁起の良い未確認生物を紹介したい。ではどこに縁起の良い生物がいるのかというと…実は昔の日本の記録を見ていくと、「出現すると豊作や豊漁を約束してくれる」奇妙な生物の目撃証言が存在している。

 その名は「豊年魚」。昔からこの魚が現れた年は豊漁になるとか、豊漁や豊作の年が続いたので、瑞獣(ずいじゅう=古代中国でおめでたい神獣といわれた動物)として広く知られていた魚だそうだが…豊年魚はかなり魚からはかけ離れた姿をしている。

 背筋が黒くて苔(こけ)が生じており、目は鏡(眼光が鋭いということだろうか)、形はイタチ、亀のような足を備えている…そう、ヒレがない代わりに手足があるのである! さらに全身にはヘビのようなウロコがあり、腹側は蛇腹状。イタチのように長いしっぽの先は魚のようになっており、尾ビレが存在している。くわっと開いた口からは赤く長い舌がのぞいている。

 豊年魚のことを記した瓦版や文献などを見ると、こんな怪生物が生き生きと描かれているのだ。なお、大きさは約2・3メートル、重さは70キロ程度とされているので、かなり大きな生物であることが分かる。

 豊年魚は江戸~明治時代にかけてたびたび目撃されていたようだ。有名なものは錦絵にも描かれた、江戸時代に淀川に現れた事例だろうか。目撃証言が複数あることなどから、おそらく現在では種として確立している何らかの生物を誤認し、特徴が大げさに伝えられた結果、奇怪な生物・豊年魚の伝説が生まれたのではないかと考えられている。

 だが、そう解釈したとしても現在の生物とはかけ離れた非常に異質な姿であるので、もしかすると、昔の日本にはこのような姿の怪生物が本当に存在していたのかもしれない。