北朝鮮の金正恩総書記の死亡説がネット上で駆け巡る中、北朝鮮の国営通信社「朝鮮中央通信」などは20日、正恩氏が娘のジュエ氏とともに公務を行ったと報じ、健在ぶりをアピールした。

 正恩氏をめぐっては、ネット上で数日前から死亡説が流れた。

「脳出血で昏睡状態に陥り、中国・北京の病院に緊急搬送されたが、回復せずに死亡。遺体は平壌に運ばれた」「ジュエ氏への権力移譲に伴い、中国が支援のために平壌に兵士を派遣」などの情報が拡散された。発信元とされるのは反中国の活動家で情報の信ぴょう性は疑われていたが、海外メディアは根拠のない死亡説が流れていることを報じていた。

 死亡説が流れる中、正恩氏が姿を見せていなかったことから発信元の活動家は「否定するための公の場にまだ姿を現していません。これにより、金正恩の死に関する噂が真実である可能性が高い」とヒートアップしていた。朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビは正恩氏が平壌で開催された「全国被服・靴展示会2026」をジュエ氏とともに視察する写真を公開し、死亡説の打ち消しを図った形だ。

 正恩氏の死亡説が流れるのは今回が初めてではなく、かねて肥満や心臓病などをめぐる健康不安説が取りざたされ、ダイエットに成功したとされてもリバウンドし、体調悪化を繰り返しているなどという情報が拡散されてきた。もっとも、北朝鮮情勢に詳しい関係者によれば、暗殺の恐れもあるため、12人の影武者がスタンバイしているため、今回の視察に現れた人物が本人かどうかは不明だという。英メディアは「写真がいつ撮影されたかも不明」と報じている。

 トランプ米大統領は来月に中国・深圳で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談に合わせ、正恩氏と北朝鮮の非核化に向けた会談の場を持ちたいと匂わせていたが、前向きな回答を得られていないとみられ、この日までに発信のトーンを弱めている。正恩氏の今後の動向が注目される。