1年間ケガなくシーズンを完走したら、どれだけの数字を残すか――。ここ数年、虎党界隈における最大の「if」には16勝3敗(5完投、4完封)、防御率1・87、150奪三振という異次元の数字で答えが出た。

 ガラスの左腕・高橋遥人投手(30)は今季、その異名を返上するかのようなフル回転で、球団史上初となる連覇に大貢献。プロ9年目にして年俸3000万円(推定)にとどまっていた未完の大器は、ついに大成の時を迎えた。

 巨人とのデッドヒートとなった中、9月23日のヤクルト戦(神宮)では、5年ぶりとなる中5日登板も解禁。「後半以降は疲労はモロに感じていますね。(村上)頌樹とか才木とか西さんはやっぱりすごいなと」とチームメートへの敬意をにじませる。

ビールかけで後方からひっそり藤川監督(右)にビールをたらす阪神・高橋遥人
ビールかけで後方からひっそり藤川監督(右)にビールをたらす阪神・高橋遥人

 6回2失点。クオリティースタートと呼ばれるような内容でマウンドを降りても、自身へのイラ立ちを率直に吐露することもあった。3か月連続で月間MVPを受賞し、最多勝のタイトルもほぼ当確。球団としては2003年の井川慶以来、23年ぶりとなる沢村賞の受賞も視野に入るが、これほどの実績を積み重ねてもなお、左腕にはいまだ到達できぬイデア(理想)がある。

「ケガをする前よりいいボールがまだ投げられていないのは、僕もそうだし、分かっている人は分かっている。そこを目指して手術もしたし、ずっと練習してきたので、最低限そこにはたどり着きたいなって気持ちはありますね」

 ここで左腕に関する新たなifが浮上する。この男がもし、術前のトップコンディションを完全に取り戻した場合、シーズンでどれほどの数字を残すのだろうか。