翻訳家の戸田奈津子氏(87)が17日、ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都)で行われた映画「テルマ&ルイーズ」トークイベントに登場した。

 同作は、リドリー・スコット監督がメガホンを取った90年代を代表するロード・ムービー。日本語版の字幕翻訳を務めた戸田氏が出演俳優や制作陣について語った。

 お披露目から30年以上の月日が経過したが、「昨日やったように思える」と翻訳家人生のなかでも記憶に残る作品だったことを明かす。

 また、未だにアカデミー作品賞候補作を輩出し続けるリドリー・スコット監督を〝巨匠〟と表現すると、彼に並ぶ監督としてクリント・イーストウッドやマーティン・スコセッシの名前をあげ〝次世代〟が出てこないことを嘆いた。

「3人は80歳を超えてらっしゃる。私たちはその3人の映画を楽しみにしてますけど、人間100年時代といえど200年は生きませんから。この3人が亡くなってしまうと次はどうなるの? ってオールドファンとしては思っちゃう。もっと若い方出ていいんですよ」

 さらにアメリカのスター俳優の不在にも言及。

「俳優も新しいめぼしいスターが出てこないでしょう。トム・クルーズ、ブラッド・ピットは50歳を超えて…。30代のスターって今います? 少しはいるけどずば抜けた人気者がいないじゃない。それは映画ファンとして愚痴っちゃう」

 映画愛あふれる戸田氏は、次々と映画の未来について鋭く切り込んだ。最後は観客に「映画ね、最近ネットで見られるようになりましたけど、映画館で見たい」と語りかけ「ハリウッドの現場の誰一人として、小さい画面で見ると思ってないの。大画面で見ると思ってカメラを整え、ライトをつくり…。俳優さんだって眉を1センチ動かすのを計算してやってる。映画を愛する方なら、彼らが意図する形で見てあげるのが礼儀」と呼びかけた。