急逝した「ダチョウ倶楽部」の上島竜平さん(享年61)と、2020年3月に亡くなった志村けんさん(享年70)を「師弟関係」へと導いたのは、全日本プロレスの元3冠ヘビー級王者で〝デンジャラスK〟こと川田利明(58)だった。

 上島さんと川田の付き合いは実に約30年にも及ぶ。川田が「四天王」として台頭してきた1990年代前半から、食事をともにするなど交友を深めていた。

 一方、川田と志村さんの交流が始まったのは、全日本プロレスから故三沢光晴さんらが大量離脱した2000年夏ごろからだった。当時、全日本所属は川田、渕正信、太陽ケアだけとなっていたが、渕と志村さんが交流があったため、酒席を共にするようになった。

「麻布十番の隠れ家みたいな、誰も来ないようなこじんまりした店が好きだった。何でこんなお店を知っているの? みたいな。絶対にいばらないし偉そうにしない。とても静かに笑顔を絶やさず飲まれていた。楽しいお酒だった」と川田は振り返る。

 その時期のことだ。ある夜、麻布の焼き肉屋で川田が志村さんに上島さんと交流があることを告げると、志村さんは「そうなの? 今呼んで紹介してよ」と川田に告げたという。

 すぐに連絡をとると、上島さんは「いやいや、大御所すぎて恐れ多いです」と頑なに辞退したが、電話で長時間の交渉の末、何とか合流。酒席は思いのほか弾んで、志村さんは上島さんがよほど気に入ったのか、ダチョウ倶楽部との仕事はその後、一気に増えた。『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)にも出演するようになり、長年に渡る「殿様と家来」の関係が完成した。

「自慢してると思われるのは嫌だから、あまり言ったことはないけど…」と川田は謙遜していたが、上島さんは生前から、川田のおかげで志村さんとの仕事が増加したことについて心から感謝していると公言していた。

「何も正式に発表がないわけだし、状況も分からないから何も言いようがない。信じられません…」と、川田は上島さんの急逝に声を詰まらせていた。