熱戦が続く東京五輪の裏で思わぬ〝大谷効果〟だ。米大リーグ(MLB)で快進撃を続けるエンゼルス・大谷翔平の活躍を生で見ようと、インターネット動画配信サービス「ABEMA」の視聴者数が急伸している。

 大谷の試合は、日本時間の午前中に行われることが多く、五輪開幕前はワイドショーの〝花形コンテンツ〟だった。

「民放地上波の情報番組は大谷で視聴率を稼いでいました。ミニコーナーを設けて毎日特集するなど、フィーバーぶりは加速していました」(テレビ局ディレクター)

 特にMLB中継が多いNHK―BSは大喜びだったが、五輪開幕後は中継をストップ。NHKは五輪中も放送を検討していたが「結局、人員などの問題などもあり、中継は再開されていません」(前同)。

 そんな中で恩恵を一身に受けているのが、MLB中継を行っているABEMAだ。広報担当者は「ABEMAのMLB中継ですが、7月29日時点で今期の総視聴数が1750万回を突破いたしました。この数字は歴代の公式戦中継においても最速の記録となっています」と明かした。

 東京五輪よりも大谷の活躍を見たい、という人もいる。「オリンピック期間中も変わらず多くのお客さまにご視聴いただいております」(同)。NHK―BSで放送されなくなったことで、好調に拍車をかけたようだ。

 日本時間30日終了時点で大谷は37本のホームランを打ち、トップを独走している。打点との2冠王も視野に入るだけに、今後も活躍に注目が集まるのは間違いない。

 ABEMAを運営するサーバーエージェントは7月28日に発表した2021年4~6月決算で売上高が前年同期比70%増の1922億円、営業利益は実に5・4倍の445億円となったことを発表していた。

 同社の業績好調の理由はスマートフォンゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットによるところが大きかったが、そこにABEMAの〝大谷効果〟も加われば…。飛ぶ鳥を落とす勢いはまだまだ加速しそうだ。