自民党は女優の小泉今日子や著名人による安倍晋三首相に対する強烈なツイートの増加とその影響を受けて、インターネット世論との関係改善に向けた取り組みをスタートしている。

 小泉は25日、賭け麻雀で辞職した黒川弘務前東京高検検事長の処分を巡り、法務省が懲戒相当とした判断を首相官邸が訓告処分としたとの記事をツイッターに添付し「こんなにたくさんの嘘をついたら、本人の精神だって辛いはずだ。政治家だって人間だもの」とつづった。

 さらにネット上で拡散される「#さよなら安倍総理」とハッシュダグを貼り付け、安倍首相への不満を爆発させている。

 小泉の公私にわたるパートナーの俳優・豊原功補も同日、ツイッターで「さよなら安倍総理にタグを付ける気はむしろ満タンなのだけど、もうそれどころではないのではと頭をよぎる。何一つ信じられない言葉と姿勢は枚挙に暇がなく、総辞職でも当然。告発もされてる」と指摘し、「事はすでにSNSを超えて生の世論に届く新聞、TV、議員当人たちのほうがでかい声で正してくれ、と悶々とする」と胸中をつづった。

 自民党も安倍政権に対するネット抗議の多さに神経をとがらせている。

 ある自民党参院議員は「新型コロナウイルス対策、検察庁法改正案の件でも、小泉氏らのネットデモへの対応をどうすればいいのか、衆議院側の自民党国対に呼ばれて意見を出した。党として具体的な案をネット世論に発信していきたい」と明かす。

 党内では、危機感を募らせる若手議員たちの声に応えるため、ネット世論対策を打ち出そうとする動きも出ている。

 しかし、自民党議員秘書は「安倍首相を支持する衆院ベテラン議員の間にネット対策への反発が強い。衆院議員は自分の選挙にしか興味がなく、党を良くしていくことに関心がない。ネットデモを甘く受け止めたら、痛い目に遭う時代になっているということを分かっていません」と話している。

 安倍首相が率いる自民党はネット世論の支持を回復できるか。