宮本亜門氏 エンタメ業界への支援不足に苦言「不要のような感じがしてしまう」

2020年05月05日 11時32分

宮本亜門氏

 ミュージカルやオペラ、舞台など国内外で活躍する演出家の宮本亜門氏(62)が5日、TBS系「グッとラック!」に出演。新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされているエンタメ業界の現状を語った。

 安倍晋三首相は緊急事態宣言を5月31日まで延長すると4日に発表。番組の取材に応じた宮本氏は「落胆しかないです。生殺し状態というか先が見えないです」と声を落とした。ブロードウエイで予定していたオペラは延期、オペラ「蝶々夫人」のドイツ公演は全て延期、国内のショーは中止になった。国内の公演はほぼ中止という状況の中で、知人のプロデューサーは出演者の生活を守るためギャラの80%を支払うことを決めたという。また「役者たちも稽古に行けず、生の関係で付き合えることができないと、命を懸けて訓練してきた人たちの中には『この仕事、辞めようかな』という人が何人も出てきているんですよ。もう、それが心配で…」と打ち明けた。

 文化・芸術に対して政府からの補償は不十分なことに「絶望的な感じがしました」と不満を口にし、「まるで“不要不急”とは言わなかったけど、不要のような感じがしてしまうくらい」とこぼした。さらに「先進国の中で、これほど文化・芸術にお金を出さないところはないと思っていました。きっと政治家の皆さんは歌も歌ったことはないし、笑ったこともないのかな。そんなはずはないですよ。こういうときにバサッと『そういう人たち』という切り方をするんですよ」と政治家の理解のなさを指摘。「今回の流れに関しては絶望的な感じが正直しましたね。残念ですね」と何度も絶望的という言葉を口にした。

 つらい状況の中、宮本氏は医療従事者などを元気づけるために出演者やスタッフが無償で取り組んだ「上を向いて〜SING FOR HOPEプロジェクト」を企画。故坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」を歌いつなぐ動画は反響を呼んでいる。宮本氏が犬の散歩をしているときに「勇気づけられました、涙が出ましたと声をかけられ、こっちが勇気づけられました。ネットだから、舞台だからではなくて、いろいろな力を持っているんだなというのを教えてもらいました」(宮本氏)とエンタメが持つ大きな力を再認識したという。

「疲れ切っている今だからこそ、『よーし』って頑張ろうという気持ちになったり、あらゆる感情を支えてくれるのは、やっぱり演劇でありエンターテインメントであり、いろんなものなんですね」と宮本氏はエンターテインメントの力を信じ、不安を抱く人たちに寄り添う覚悟だ。「今、この時期に次の生き方が試されている気がするんですよ。そして一番大切な人間性も試されている。だから僕は、絶対ポジティブにいて、いい方向に向かうと信じて突き進んでいきたい」と力を込めた。

 なお、宮本氏はネットを使ったミュージカルを考えているという。