新型コロナウイルス感染が明らかになった大御所お笑いタレントの志村けん(70)が、予断を許さない状況だ。本紙など各紙が25日に報じ、所属事務所も同日、感染を公表した。本紙昨報通り、一時重篤な状態に陥ったという。24日午後には、人工心肺をつけるため別の病院に転院した志村。一部で「快方に向かっている」とも報じられたが、病状は想像以上に深刻な可能性もある。どこも伝えない“本当の病状”を緊急リポート――。

 所属事務所「イザワオフィス」は25日に、文書で志村の発症、入院などの経緯を報告した。それによると、発症は17日で、倦怠感があったため自宅静養に入った。19日に発熱と呼吸困難の症状が出て、20日に都内の病院に搬送。23日に新型コロナウイルス検査で陽性と判明し、現在も入院中だ。

 24日には保健所の調査が行われ、濃厚接触者の特定が完了し、対象者は自宅待機しているという。感染経路は現在のところ不明だ。

 同事務所は「本人も病状の回復に全力で努めておりますので、どうか静かに見守って頂けますと幸いです」とコメントしている。

 事情を知る関係者は「重度の肺炎を発症していて、陽性判定が出た23日は集中治療室で人工呼吸器を装着し、一時重篤な状態になったと聞いている」と明かす。

 新型コロナは高齢者で糖尿病や高血圧、肺や呼吸器官に持病がある人は重症化しやすい。先月20日に70歳の古希を迎えた志村は、たばこを長年吸い、芸能界きっての酒豪としても知られている。

 それでも病状は快方に向かっており「意識はある」との報道もある。だが一方で、24日に当初入院していた病院から、人工心肺装置のある新宿区の別の病院に転院していたことが判明した。実はここが重要なポイントで「肺気腫があり、人工呼吸器に肺が耐えられず、人工心肺が必要になったと考えられる」(医療関係者)という。

 転院先の病院には重い肺炎患者の治療に使われる「ECMO(エクモ)」と呼ばれる人工心肺装置がある。ECMOは低下した肺の機能を人工肺で補う装置。首や足の付け根から静脈に太い管を入れ、血液を体の外へ吸引し、人工肺で血液に酸素を取り込ませ、体内へ戻す。重症肺炎により肺での酸素の取り込みができなくなった患者に用いられ、自分の肺の機能が回復するまで、人工肺が肺の機能の代わりを担う。

 日本集中治療医学会や日本救急医学会の調査によると、今月11日時点で少なくとも23人がECMO治療を行い、うち12人が治療を終えて回復。亡くなった患者はいないという。

 志村にとっては朗報だが、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏は慎重派だ。

「ECMOはウイルスを殺すわけではない。新型コロナは年齢が高ければ高いほど致死率が上がる。それはなぜかといえば、若い人より免疫力・回復力が低いから。ECMOは肺の代わりを務めて“時間稼ぎ”をする装置にすぎない。肝心なのはやはり本人の体力や回復力。ウイルスに打ち勝てるかどうかだ」

 一部で「ヤマは越えた」と報じられているが、上氏は「あり得ない。ECMOの効果が出てくるのは、せいぜい1週間後あたり。肺や肝臓が人より悪ければ、その分、体力がないのだから回復は遅い。経緯を聞く限り、深刻で予断を許さない状況だと思う」と話す。

 海外では米人気俳優のトム・ハンクス(63)が新型コロナに感染するも、その後退院し、23日にツイッターで「最初に症状が出てから2週間がたち、私たちは快方に向かっています」と報告。著名人の感染は世間に及ぼす影響も大きいために上氏は「志村さんが非常に心配。何とか持ちこたえてほしい」と切望する。

 何とか新型コロナに打ち勝って、元気な姿で爆笑コントを見せてもらいたい。

【高木ブー、研ナオコ、小柳ルミ子が…回復エール続々】志村にとってザ・ドリフターズ仲間の高木ブー(87)が、自身のインスタグラムを更新。セットをバックに志村、加藤茶、仲本工事と並ぶ写真をアップし「皆さん、志村へのコメント、ありがとうございます。志村に早く元気になってもらって、またドリフのメンバーでコントやりたいです」とつづった。

 大御所タレントの緊急事態に芸能界から次々と激励のメッセージが送られた。研ナオコはツイッターで「けんちゃん、早く治してまたバカ殿一緒にやりましょうね」。ブログで「ショックです!」と発した小柳ルミ子も「ゆっくり治療して下さいね!」と回復を願うなど、励ましの輪が広がっている。