川崎競輪場で21日に初日を迎えるミッドナイト競輪のガールズケイリンに小さな偉人が出場する。田口梓乃(28=山口)は旧姓・三輪。ガールズ1期として2012年7月に広島所属でデビューした。

 安定した位置取りで戦績も上々。小粒ながら存在感を発揮していた。その後、同業の田口守(33=山口)と結婚、秋田所属の田口とともに、実家のある山口に移籍した。2度の出産を経て、今なお鋭い立ち回りで頑張っている。競走得点も52点を超えている、押しも押されもしない実力者だ。

「自分一人だけじゃないから」

 今があるのは、支えてくれる家族のおかげだという。競走参加では一定期間子どもたちと離れ離れになるが、両親、そして「祖父母もまだ元気なので、みんなでみてくれるんです。家族のおかげで続けられています。自分の調子を戻すのはできるので」とニッコリ笑う。

 何より、夫も頼りになる。「お弁当も作ってくれるんです。家のこともやってくれるんですよ。意外かもしれませんけど、フフッ」。競輪場で選手としての守を取材している側の立場からすると、どう猛で感情的な側面を感じて家庭的な印象をあまり受けないのだが、驚くほど、良き夫、なのだという。

 初日(21日)は予選1・2Rに出走する。「前々好位」と厳しい位置取りは変わらない。ただ、「家族のために」と意気込んだ顔は、昔の可愛いらしいだけのものではなく、責任感と慈愛に満ちていた。

 ガールズケイリンの創生期には、結婚、出産、復帰の道筋はできていなかった。その道を作り上げたことは、ガールズケイリンそのものの価値を大いに高めている。