新日本プロレス10日京都大会の「NEW JAPAN CUP」1回戦で、チェーズ・オーエンズ(31)がデビッド・フィンレー(27)に敗れ早々にトーナメントから姿を消した。

 オーエンズは今年に入りテキサス・ヘビー級王座を奪取した。本人は「ザ・ファンクス、フォン・エリック・ファミリー、タリー・ブランチャード、ホセ・ロザリオといった偉大な歴代王者と肩を並べた」と豪語しており、この日の解説を務めた邪道も「歴代最も偉大な王者」と断言。もはやテキサスでその名を知らぬ者はいない、テキサス史上最強の男としてトーナメントに降臨した。

 31歳ながら15年以上のキャリアを誇るオーエンズは、序盤から背中への集中攻撃を展開し、これぞテキサス王者という戦いぶりを見せる。さらに場外マットをはがしてレフェリーの目を引きつける間に、リングに戻ってフィンレーにテキサス伝統のベルト殴打攻撃。しかし、これまでも多くの歴代王者が苦しめられてきたテキサスの呪いとも呼ぶべき腰の痛みから、パッケージドライバーには移行できない。

 ならば、とテキサス仕込みのバックブリーカーからテキサス風ランニングニーをさく裂させるが、勝負を決めにパッケージドライバーを繰り出そうとしたところをウラカン・ラナで丸め込まれ痛恨の逆転負け。まさかの初戦敗退に、全テキサス人が絶望を味わった。

 NJC優勝者には4月4日両国大会でのIWGP世界ヘビー級王座(王者は飯伏幸太)挑戦権が与えられる。この絶好機に地元では「テキサスから世界へ」という世論の高まりもあったとささやかれているが、優勝トロフィーを持ち帰ることはできなかった。

 オーエンズは「ふざけるなよ! こんなことあるか! 何のために今日、俺が白のコスチュームで現れたと思ってるんだ? 勝つために決まってるだろ! クソッタレのレフェリーが!」と激怒しながら、テキサス時間では3カウントに達していなかったと主張。最後の最後でとんだイチャモンがついたものの、王者として厳しいマークを受けながらアウェーのリングで堂々と戦い抜いたオーエンズの姿は、テキサスで脈々と語り継がれていくに違いない。