この状況はいつまで続くのか。日本ハムから巨人へ移籍した中田翔内野手(32)に対し、世間からの風当たりが一向に弱まる気配にない。8月初めに同僚選手への暴力行為が発覚し、14年間在籍した古巣から放出された中田だが、その〝事件発生〟からすでに1か月が経過。古巣・日本ハム内では「解決策はもう一つしか残されていない」と、状況改善のための打開策を提案する声が出ている。

 悩める日々は続く…。中田は8月20日の電撃移籍後、翌21日に即一軍登録されると、初スタメンとなった22日には豪快な移籍1号2ランを放ち、鮮烈な再スタートを切った。一方、その後の成績は下降気味で、7日のDeNA戦(横浜)では途中出場して2打数無安打。ここまでの打率は1割4分7厘、直近10試合では25打数3安打と、力を発揮できずにいる。

 低迷する成績もさることながら、中田の置かれた立場に対しても、世間からはいまだ厳しい声が寄せられている。すべては現在に至るまでの経緯と、その後の後手後手となった対応に起因する。

 中田は北海道で会見をしないまま東京へ移動すると、巨人の選手として謝罪、及び入団会見を実施。同時に出場停止処分が解除されると翌日から試合に出場し、選手生活をリスタートした。早すぎる現場復帰には世間から大きな非難を浴びたが、それ以上に「何一つ説明責任を果たしていない日本ハム側は、いかがなものか」と、状況説明もしないまま〝だんまり〟を決めこむ日本ハム球団上層部への不満が爆発することとなった。

 そんな逆風を見かねてか、日本ハムは8月31日になって初めて、球団ホームページを通じて川村浩二球団社長兼オーナー代行の謝罪文を発表。「皆様に対して『ファイターズの中田翔』としての声を発する機会を設けぬままの退団となってしまい、皆様を失望させてしまったことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪したが、あまりに遅すぎる対応にファンからは「なんで今さら?」「もしかして忘れてたのか」とさらなる批判が集まった。

 ファンだけでなく、球界内からもこの対応に異を唱える声が噴出。球界関係者は「この謝罪文の問題点は、発表のタイミングの遅さだけでなく、この期に及んで会見も開かず、ネット上のお詫び掲載で済ませようとするところにあります。各地のナイターゲームが始まる直前の時間帯に、どさくさにまぎれたようにしれっと更新しているところには〝執念〟すら感じますよ」と、日本ハム側の姿勢を強く非難した。

 また、当事者である日本ハムの内部からは意外にこんな声も…。「正直、事が公となってからは、中田に何かを決める権利なんてないはずなんですよ。『放出する』と言われれば従うまでで、巨人に来れば戦力として使われる限り試合に出続けるしかない。何かを行う権利も拒否する権利も彼にはない。事の発端は自身の不祥事なので〝身から出たサビ〟でしかありませんが、その後の動向について本当に責められるべきは初動を間違えた日本ハム側だと思いますよ」と、問題の本質を指摘した。

 では、厳しい現状を打破するためにはどうすればいいのか。「すでに時期は逸していますが、日本ハム側がしっかりとオフィシャルな会見を開いて、世間が抱いている疑問に答えることしか解決方法はないように思えます。実際あの日に何があったのか、なぜ対応が遅くなったのか、今後具体的にどのような再発防止プログラムを行うのか…。それでも批判的な声はやまないとは思いますが、少なくともファンだけでも納得する回答はするべきです。このままでは引受人となった巨人サイドにまで延々と迷惑をかけ続けることになりますよ」(前出関係者)。

 もがきながらも、試合に出続けることでしか〝みそぎ〟を行うことができない中田。そんな姿を見て、果たして古巣はどのような〝けじめ〟をつけるのだろうか…。