女子プロレス「スターダム」のジャングル叫女(きょうな=29)が本紙のインタビューに応じ、王者の岩谷麻優(27)に挑戦するワールド・オブ・スターダム王座戦(24日、名古屋国際会議場イベントホール)に向けた思いを激白した。戦友であり親友でもあった木村花さん(享年22)を失った悲しみを乗り越え、運命のタイトル戦に臨む。

 ――赤いベルトに挑戦する

 ジャングル叫女(以下叫女):もともと2月23日の名古屋大会で挑戦が決まっていたんですけど、それがコロナで流れてしまって。初めて地元で赤いベルトに挑戦できるチャンスだったので意気込んでいました。それが直前で流れてしまい「ついてないな」って…。

 ――中止会見では涙を流した

 叫女:どこにぶつけていいか分からない悔しさで泣いてしまいました。その時も隣にいたのが花です。「ジャングルさんが今まで抱いていた名古屋への熱い思いと、赤いベルトを取りたいっていう思いを近くで見て分かっていたから、私もやりきれない」って言ってくれたんです。

 ――その花さんは5月23日に亡くなった

 叫女:1年間同じユニット(トーキョー・サイバー・スクワッド)でやっていく中で、花とは日に日に絆を感じていって、プライベートでも仲良くなっていきました。とにかく私たち、プロレスの話が合ったんです。花が頑張る時は私が支えるって話したし、花も「ジャングルさんが頑張る時は私が支える」っていう関係で。私が支えてるつもりだったけど、実際は花が私を支えてくれていたんだなって、亡くなって初めて気づきました。

  ――花さんと一緒に目指していたのは

 叫女:東スポさんの(プロレス大賞で)女子プロレス大賞を取りたいっていうのが花はすごい強かったんですよ。それについてはずっと2人で話していました。どうしたら花が女子プロレス大賞を取れるかなって作戦会議を。コロナが明けて試合が始まったら、こう動いていこうっていう計画を話してましたね。それで花が一番輝いた時に、私が花の対角に立つっていう話もしていた。

 ――一緒に暮らした時期もあった

 叫女:そうですね…。4月ごろから合計して1か月くらいは一緒に住んでいましたね。めっちゃプロレスの話をしました。「コロナが早く終わってほしい」「試合に戻りたい」っていう話をずっとしていました。あと今度、私は新しいコスチュームにするんですけど、一か所に花を象徴するものをつけるんです。花とずっと一緒に戦いたい。

 ――彼女が悩む姿も目にしたか

 叫女:見ていないって言えばウソになります。花は見せないようにしていたけど、見えていました…。苦しんでいました。弱い部分もありましたから。だからこそリング上では強い自分で戦っていたと思うし、私はそこを尊敬していました。

 ――あの日、現場にも駆けつけた

 叫女:LINEがありました。ツイッターに載せていたのと同じような内容のものが。助けを求めてきたのはその時が初めてじゃなかったんですけど、いつもと違うなっていうのは感じて、ずっと手が震えて、心臓がバクバクしてっていう状態で駆けつけました。救急車の音や消防車の音は、聞くと今もフラッシュバックします。

 ――興行再開となった6月21日の東京・新木場大会を欠場した

 叫女:落ち込んでしまって毎日毎日泣いて、感情のコントロールもできなくて暴れてしまったこともあって。この状態ではプロレスができないってなって、欠場させていただきました。でも花の四十九日が過ぎて次の日から自分も復活しました。今は心も体もベストで、今まで以上で試合に臨めていると思います。

 ――赤いベルトの初戴冠がかかる

 叫女:この半年はずっと赤いベルトに挑戦する準備をしていた。心はともかく、体は動かしていたんです。何かしていないとおかしくなってしまう気もしていたし。あとは、この思いやパワー、全てを受け止めてくれるのは岩谷麻優じゃなきゃ嫌だ。全てをぶつけていきたい。

 ――これからは花さんと戦っていく

 叫女:花がまだまだ活躍したかったリングに、私は生きてるからまだ立てる。これからリングに足をつけて、正々堂々と戦っていきたいと思います。