フロントも大変だ。荒れる契約更改で日本プロ野球選手会から〝イエローカード〟を突きつけられた中日が30日に名古屋市内で球団納会を行い、席上でフロント側が球団の苦しい台所事情を切々と訴える一幕があった。

 今季はリーグ3位と健闘し、8年ぶりにAクラス入り。大島オーナーは「心の底から喜びたい」と頬を緩め「現実的な目標としてリーグ優勝、そして日本一を取りに行くことを掲げることは何ら恥じることはない。ぜひチーム全体でこの目標を共有して、来季に向けて動きだしてほしい」と檄を飛ばした。

 そんな中で矢野社長が訴えたのは球団経営について。「プロ野球は興行で、お客さまに来ていただいて初めて成り立つもの。不安がなく安心、安全という土台があって成り立つ商売。それにプラスして心のゆとり、お金のゆとりがあって初めて球場に足を運んでいただき、お金を使っていただき、そのお金で私たちが成り立つ、そういう仕事であり、商売です」と諭すように説明してから本題に入った。

「今季は残念ながら120試合しかできず、ナゴヤドームでは60試合で、これが球団の唯一の売り上げです。入場者数は残念ながら、昨年から17%弱という厳しい状態でした。ただしテレビ、ラジオ、ネットの放送局が救ってくれましたけど、それを合わせても50%を切るような状態です。それでも皆さま方(選手)の年俸、何とかそういうものを守ろうとやってきました。当然のことながらどこの球団もそうで今年は大赤字です。これはやむを得ないことです」

 先週26日から始まった契約更改交渉では木下拓、福、福谷の3選手が保留。査定の事前説明に不十分な点がなどがあったとして日本プロ野球選手会が球団に抗議文を送りつける事態となった。

 矢野社長のスピーチに選手の理解を求める狙いがあったのは明らか。果たしてフロントの思いは選手たちに届くのか。