カネでは買えない強さが、王者をのみ込もうとしている。ナ・リーグ優勝決定シリーズでブルワーズはドジャースを相手に開幕2連勝。昨年の同シリーズでは4連敗したブルワーズが、巨額投資で3連覇を狙うスター軍団を相手に2つの白星を重ね優位に立っている。レギュラーシーズンも103勝と、ドジャースの100勝を上回っている。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は14日(日本時間15日)、ブルワーズの強さを映画化もされた「マネーボール」の理念になぞらえて分析した。
資金力の差は歴然。米メディア「ブリーチャー・レポート」が選手年俸集計サイト「スポトラック」の数字として紹介した今季の総年俸は、ドジャースが約3億3932万ドル(約536億円)でメジャー2位、ブルワーズは約1億4621万ドル(約231億円)の19位。2倍以上の開きがある。だが、勝敗を決めるのは札束の厚さではない。
映画「マネーボール」はビリー・ビーン氏がGMとして率いた旧アスレチックスが、出塁率など従来軽視されていた指標を武器に低予算で強豪へ成長する姿を描いたノンフィクションが原作。マイケル・ルイス氏著作のベストセラーだ。ジ・アスレチックは、その本質を「野球における市場の非効率性を明らかにすること」と説明。ブルワーズはまさに、それを現代野球で実践している。
同記事によると、ブルワーズは今季メジャー最高の出塁率を記録。捕手の巧みな捕球技術「フレーミング」に早くから着目し、2008年以降は判定面で得た貢献度で他球団を圧倒してきた。投手の球質や変化を数値化して球種を磨き、俊足選手も積極的に起用。盗塁数は今季4位で、接戦での勝負強さも過去7年間にわたり際立っているという。
決して投資そのものを拒んでいるわけではない。19年には春季キャンプ施設を6000万ドル(約95億円)かけて改修し、投球研究設備を整備。選手を高値で買い集めるより、既存戦力の能力を最大化する仕組みを築き上げた。
ドジャース・大谷翔平投手(32)らスター軍団の3連覇を阻むのは、巧みな知恵なのか。ブルワーズがこのまま世界一へ突き進めば、補強費の多寡をめぐるメジャーの常識に一石を投じることになりそうだ。












