【競輪命】特別な思いで臨む地元デビュー戦

2020年08月05日 18時20分

このネックレスは秋本にとって大事なお守りだ

 秋本耀太郎(22=栃木・117期)が、6~8日に開催される宇都宮ミッドナイト競輪(FⅡ)で地元デビューする。やや緊張した様子で前検日の作業を行っていた秋本は時々、首元で光る銀色のネックレスに手を当てるしぐさをしていた。まるで何かを自分に言い聞かせ、心を落ち着かせるように…。

 秋本は栃木県の名門・作新学院高校自転車部出身のエリート。競輪選手を目指していたアマチュア時代のある日、練習を指導してくれていた作新の大先輩・坂本英一(52=栃木・59期)から声をかけられた。

「おい、耀太郎! 競輪学校に受かったら、これをあげるから。頑張れよ」

〝これ〟とは坂本がその時に身に着けていた銀色に輝くネックレスのことだった。

「はい、ありがとうございます!いただけるように頑張ります!と言ったんですが…。なかなか学校(現在は養成所)に受からなくて…(苦笑)」

 それでも諦めなかった秋本は4度目の挑戦でついに試験に合格した。すると「坂本さんが『おめでとう』と言ってネックレスをプレゼントしてくださったんです。かなり時間がたってしまっていたのに、約束を覚えていてくださっていて…。いただく時には贈呈式までしてもらいました。僕にとって大切な大切なお守りなんです」と常に身に付けて、大先輩からパワーをもらっているようだ。

 今シリーズは待望だった坂本との同時あっせんのはずだったが、坂本が前回の落車の影響で負傷欠場してしまった。同乗して恩返しする機会は持ち越しとなったが「残念だけど(坂本からは)『頑張ってこいよ』とエールをいただきました。新人らしく思い切ったレースをして、先輩の分まで頑張りたいです」と目を輝かせた。

 現在は長島大介(31=栃木・96期)や真杉匠(21=栃木・113期)、隅田洋介(32=栃木・107期)、金子幸央(27=栃木・101期)らがいる充実の練習グループに所属し「自力で上のクラスまで上がって、お世話になっている同県の先輩方に恩返しをする」という、自分自身に課したノルマを達成するべく日々、脚力を磨いている。

 今度は自分が約束を果たすために…。プロ生活をスタートさせた秋本の今後を、じっくりと見守っていきたい。

☆奥山雄大(おくやま・ゆうだい)88年生まれの通称・松川(高大)世代。主にミッドナイトの取材を担当。特技は肉をおいしく焼くこと。〝初級焼き師〟の資格を持つ。