【競輪命】どこへ進む、競輪

2020年05月29日 20時11分

ユーチューバー金子貴志はファンサービスの重要さを強く感じている

 豊橋競輪場で30、31日の両日にわたって「令和2年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が開催される。1日の競技大会は中止。例年、前検日含めての3日間は競技についても聞くところだが、今回はなし――。

 そこで2つの今、について少し聞いてみた。1つ目は選手による開催中のカメラ撮影の禁止だ。近年、選手自身が検車場や宿舎での生活を撮影、静止画、また動画でファンに紹介するシーンが増えていた。選手ならではのレアな写真、動画は大いにファンにうけ、需要もあった。

 ただし先日、公正安全面を考慮して、ということで統括団体のJKAから一律禁止の連絡が選手あった。ユーチューブに多くの動画をアップしている金子貴志(44)は「具体的な説明もなく、一律禁止では…」と苦悶の表情を浮かべていた。競輪、自転車の枠組みを離れ、競輪を知らない人にアピールしようと取り組んでいただけにショックは大きい様子だった。

 各選手の紹介写真、動画にしても、ファンが普段見られないものをと、常にファンの方を向いてのものばかりだった。だが公営競技としての性質上、行き過ぎた部分がありはしないか…がJKAが見とがめた点になる。

 問題はルールがなかったこと、に尽きる。選手がファンに対し、何かできることを…と動いている今を止めることなく、早急なルール策定により新たな段階で後押しすることが求められる。全面禁止を続けるような時代ではないだろう。

 2つ目は7車立てについて。7~9月は密を避けるために7車立てレースで実施される。S級のGⅢも7車立て9個レースといった具合だ。還暦まで競輪を楽しみたいと口にする山崎芳仁(40)は「ずっと9車立てで走り、またその競輪を見てきたんでね。競輪は9車じゃないと」と虚空を見つめた。小倉竜二(44)、木暮安由(35)など、9人の争いの中で存在がはじけるレーサーも「9車でしょう」とつぶやいた。

 もちろん、7車立てへの期待を感じる選手もいて「7~9月の結果を見て、今後、7車立てに推移してもいいと思う。いや、遅いくらい」という声もあった。気になるのは「追い込み選手の存在は薄れていきますけどね…」という実感。ラインを重視する競輪との落差を7車立ては内包する。しかし、それはもう、そんな時代なのかもしれない。

 上記、2つの出来事について取材すると「時代」というテーマが浮かび上がってきた。競輪はこの時代にあって、どこへ進むべきなのか。今はどんな時代なのか――。

☆前田睦生(まえだ・むつお)=九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装は吊るしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。