熊本の市街地で22日、一大イベントが行われた。「ゼロワンフィフティ0150」。かつて交通センターがあった場所にできた「サクラマチ クマモト」の前にあるシンボルプロムナードで、競輪、自転車の魅力を伝えるために行われた。熊本市のイベント企画会社フラッグスが開いたイベントで、代表の松江慎太郎さん(42)は「熊本人は生の競輪選手の走りに飢えている」と訴える。

 交通センター跡地前の車道を柵で区切って競技スペースとし、一般参加者を募って行われた。3~50歳の参加者が自前の自転車に乗り、150メートル走に挑戦。未就学児だと30~40秒台で、自転車競技の経験者は15秒付近の記録を計時した。

 24日から(23日前検日)の久留米代替開催の熊本記念「火の国杯争奪戦」参加を控えていた熊本の英雄中川誠一郎(40)も参加し、13秒ちょうどというタイムを叩き出した。「開催直前だったので、エキシビション的に1走して、少しトークショーを行ってきました」(中川)。松江さんは選手にはならなかったが、28期の伝説的レーサー龍起さんを父に持ち、双子の兄弟・龍太郎さん(引退=84期)も選手だったので競輪への愛は深く、アマチュア時代に一緒だった中川と志をともにしているのだ。

 中川は熊本市から要請され自転車促進委員会の委員として、今後、自転車専用道路の設置などについての会議に参加することになっている。競輪での実績だけでなく、2回の五輪出場もあり、地域への貢献も背負う身だ。

 熊本競輪は再開こそ決まっているが、その日、その時はなかなか迫ってこない。現時点では2021年になって…というところだが、徐々に遅れているのは事実だ。中川が常に強調する「再開した熊本競輪を走ることが、ボクたちの本当の意味の復興」がなされることが、待ち遠しいばかり。ファンはもどかしい思いを抱えている中、熊本競輪を愛する人々の活動が再開への道のりを支えている。

☆前田睦生(まえだ・むつお)=九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装は吊るしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。