ロシア人女性デュオ「t.A.T.u.(以下、タトゥー)」といえば、2000年代初めに活躍したロック歌手だ。

 初アルバム「t.A.T.u.」は日本で200万枚を売り上げ、いきなりトップアーティストの仲間入り。世界での累計売り上げも1500万枚を超えている。女性2人組というのも珍しいが、女子高生風の衣装と歯に衣着せぬ物言い、そして何かとお騒がせだったことが国内外で話題を呼んだ。とりわけ03年にテレビ朝日系「ミュージックステーション」をドタキャンして大ひんしゅくを買ったのは記憶に新しい。

 プロデューサーによる演出という部分もあったという。もともとこのプロデューサーは、ザ・ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンなど破天荒な伝説を持つロックミュージシャンに憧れがあったらしい。実際、メンバーも後日「ドタキャンは、やってはいけないことだとわかっていた。でもやらざるを得なかった」と反省の弁を述べてもいる。現代ではやりすぎだったか、人気もみるみるうちに落ちていってしまった。

 だが、半分は本人たちのやりたいようにやっていたような気もしないでもない。というのも、来日したタトゥーを東京・お台場の大江戸温泉物語で取材したとき、こんなことがあったからだ。

 物珍しい施設に大はしゃぎしていた2人。足湯に入ると、ギャハハと笑いながら水を掛け合ったりしていた。すると、突然いわゆる立ちバックの姿勢でピストンするしぐさを始めたのだ。これには他の客も“ドン引き”。周りに外国人や日本人スタッフはいるものの、何というかいつもの悪ふざけという感じで全く止めようとしない。それでも東スポ的には“おいしい被写体”なので、私は何度もシャッターを切った。本人たちも「イエ〜イ!」とノリノリでポージングする。ところが、だ。本紙に無事掲載されたので、翌日の取材時に、本人たちに見せると一気に表情が険しくなっていく。しかも新聞をポイ捨てされてしまった(笑い)。

「あれれ、昨日の上機嫌はどこへやら?」と私はきつねにつままれた気分。飲酒でもしていたのか、はたまた、もともと感情の起伏が激しいのか…。いずれにせよ、演出とはとても思えず、タトゥーのある意味、奔放な側面が垣間見られた瞬間だった。

 だが、それだけではない。そのプロデューサーからも離れ、すっかりタトゥーの話題を聞かなくなったころ、あるレコード会社関係者が、私にこう耳打ちしてきた。

「(メンバーの)ユーリャがイスラム教に改宗したらしい。今では毎日コーラン(イスラム教の聖典)を読みふけっているみたいよ」

 聞けば、もともとユーリャはキリスト教だったのだが、交際していた彼氏がイスラム教だったので、自分もイスラム教に改宗したそうな。愛情の前に信仰は関係ないという。これにはさすがに仰天。何というロックンロールなのだろう。

 もちろん真偽のほどは定かではない。ただ、彼女たちなら、やりかねんなとも思う。結局、お騒がせキャラというのはプロデューサーの方針もあっただろうが、もともとは彼女たちの自由なメンタリティーによるものだったのではないか。それをもう少し賢く使えば、今でも活躍していた(?)かもしれない。

(文化部デスク・土橋裕樹)