私、失敗しないので——。この痛快な決めゼリフで高視聴率をマークしている米倉涼子(38)主演「ドクターX〜外科医・大門未知子」(テレビ朝日系)。ドクターXは今や米倉の代名詞ともなっていて、11月14日放送の第5話では今期の連ドラ最高視聴率となる23・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークした。

 フリーランスの天才外科医が大学病院の虚構の権威をものともせず、その技術と患者への思いだけで難手術を成功させていく——。シンプルで爽快感のある設定と、米倉の男性的で力強い演技がヒットの大きな要因だろう。女性から憧れられるタフな人物像を演じたら米倉にかなう女優はいないのでは?と思わせるくらいのハマリ役と言ってもいいが、女優転向当初はおとなしすぎるくらいにおとなしかった。

 今から13年前、2000年の3月末に米倉を単独取材したときのことだ。佐藤浩市主演「天気予報の恋人」(フジテレビ系)で、“女優転向宣言”(当時、米倉の所属事務所ではモデルから女優転向する際に大々的な記者会見を開いていた)後、米倉が初めて連ドラにレギュラー出演する——というテーマでの取材だった。

 当時、24歳。年齢的にはちょっと遅すぎるとも思える女優転向。本人も気にしていたのだろう。インタビューの冒頭で「モデル業はプライドを持って続けてきましたし、事務所から『女優デビューしなさい』って言われても、ずっと断ってきたんです。もともと女優に憧れていたわけでもないし」と強調した。
 ならば、なぜ今になって女優転向宣言を? 素直に疑問をぶつけると、「モデルも実はショーで演じているんだな、って気がついたんです。お芝居のような役柄ではないけど、洋服が最大限に見栄えするように自分以外のキャラクターを演じているんですよ」と理路整然と続けた。

 本格的デビュー作とあって、今では考えられないほどセリフも少なかった。気象庁の事務員が米倉の役で、気象予報士のナインティナイン・矢部浩之(28=当時)に片思いをしている。普段はほとんどしゃべらず、何を考えているか、イマイチ分からない。そんな役柄だった。当時はナイナイが人気絶頂だったこともあり、米倉よりは矢部の方が注目されていた記憶がある。

「矢部さんはポッと出の私にも気を使ってくださるんです。本当に気配りの人なんですよ」。矢部を謙虚に絶賛してから13年。おとなしい、からタフで男勝り——とイメージは180度変わったが、堂々のトップ女優の風格を身につけた米倉を見ていると、女優デビュー当初のおしとやかな姿を思い出す。

(特集部デスク・山下賢次)