長年、国会で論議されていた統合型リゾート(IR)整備推進法案(通称カジノ法案)が昨年末、可決・成立し、政府は年内をメドに実施法案を策定し、いよいよ日本にもカジノ誕生が間近となってきた。
立地場所を巡っては、誘致合戦が展開中で、神奈川県横浜市と大阪府大阪市が有力との観測もあるが、長らくカジノ第1号と目されていたのは、東京臨海副都心だった。
先月、猪瀬直樹元東京都知事が出席したカジノのシンポウジウムで、興味深い話があった。猪瀬氏はカジノ学会の理事を務め「大人がオシャレをして出かける社交場をつくりたい」と提唱していたバリバリのカジノ推進派。副知事時代からカジノ法案の審議を見守りつつ、ゴーサインが出た際に用意していたというのが「臨海副都心青海K区画」だったという。
このK区画とその一帯は、北側に実物大ガンダム立像がある「ダイバーシティ東京プラザ」、東にショッピングモールの「ヴィーナスフォート」、西に船の科学館、南に日本科学未来館やフジテレビ湾岸スタジオに囲まれた一等地で、長らく手付かずのままにされていた。
この場所に白羽の矢が立てられたのは海からのアクセスだ。「有明に埠頭があるが、豪華客船はレインボーブリッジをくぐり抜けられないので、手前の船の科学館のところに大桟橋を造ろうと思っていた」(猪瀬氏)
船着場からK区画までは徒歩10分ほど。羽田空港からも高速道路が直結し、多くの外国人観光客が取り込める。周辺は商業施設や観光スポットに恵まれ、大人はカジノ、子供たちは観覧車やショッピングと、カジノを立地するには絶好のロケーションになるとの青写真だった。
「フジテレビも積極的な感じで、(都庁の)役人は(K区画の)空き地を埋めないかと定期的に話を持ってくるが、僕は待ったをかけていたんです」(猪瀬氏)
しかし、猪瀬氏は2013年に徳洲会事件で失脚。後任の舛添要一氏はカジノに全く関心を示さず、K区画は15年11月から10年間の定期借地権でBMWに貸し出され、現在は広大なショールームとなってしまった。
小池百合子都知事もカジノ推進派だが、前のめりで取り組んでいる様子はない。「小池さんは目の前の問題でいっぱいだし、カジノより金融特区の方に頭がいっている。せっかくとっておいた場所もBMWに貸してしまい、(10年間は)帰ってこない。もうお台場に(好条件の)場所はない」(猪瀬氏)
かくして、石原慎太郎元都知事が1999年に提唱し、関係者が長年、夢見たお台場カジノ計画は頓挫したとのことだ。
(文化部デスク・小林宏隆)
踊った末に幻と消えた「お台場カジノ計画」
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