騒動はすっかり沈静化したが、2019年の芸能界を振り返る上で「雨上がり決死隊」宮迫博之、「ロンドンブーツ1号2号」田村亮ら複数の芸人が反社会的勢力の会合に出席した闇営業問題は外せないトピックだ。約2か月にわたって続いた騒動の中で、吉本興業内外問わず、多くの芸能人が様々な場所でコメントをしたが、もっとも印象に残ったのはデーブ・スペクターの言葉だった。

 宮迫らは当初「反社会的勢力だとは知らなかった」などと釈明していたが、デーブはワイドショーで「ネットとか弁護士を使って調べようと思えば(会社の)実績は分かる。分からなかったら、仕事をしなければいい。知ろうとしなかったのも問題」とズバリと言い切った。

 暴力団排除条例が2011年に全国施行されたことで、相手先が反社会的勢力かどうか「知ろうとする努力」が一般人に求められるようになった。簡単に言うと、暴力団対策法(暴対法)が暴力団を規制する法律であるのに対し、暴排条例は一般人が反社会的勢力に利益供与するのを禁止した条例だ。

 一例として、銀行口座を開設する際に「反社会的勢力ではない」という念書に署名を求められた経験がある人も多いだろうが、基本的には暴排条例がその根拠になっていると考えていいだろう。

 だからこそ顔を知られた芸能人なら、なおさら「反社と付き合っている」という風評だけでも致命的となるだけに、より一層相手のことを知る努力が必要だったのではないか?「知らなかった」「気づかなかった」ではもはや通用しない。デーブが言うように「知ろうとしなかったのも問題」だからだ。

 一連の闇営業問題が落ち着いたかと思った矢先、再び吉本興業に激震が走っている。「チュートリアル」徳井義実の税務申告漏れが発覚。さらに「ミキ」のステルスマーケティング(ステマ)疑惑まで浮上しているのだ。徳井は自業自得だとして、気になったのはミキのステマ疑惑。京都市から委託を受け、京都国際映画祭を盛り上げるためにツイッターでPR、その対価として100万円のギャラを受け取っていたというものだ。そのツイートにはハッキリと「広告」と明示されていなかったことから、問題視された(吉本はステマには当たらないという見解)。

 仲間の芸人たちは、ミキは吉本から言われて仕事としてやっただけであり、悪くないと擁護する向きが多い。ただ、果たしてミキに一切の責任はないのか? 12年のペニオク騒動がきっかけとなり、ステマに厳しい目が向けられているのは多くの人の知るところ。当然、芸能界にいるミキも知っているだろうし、知っていなければならない話だ。

 吉本から仕事として言われた時に、例えば「広告と分かるように#PRとか付けなくていいのか?」など確認・提案したのか? 闇営業騒動の時の「知ろうとしなかった」と同様に、一歩間違えたら「問題になるとは思わなかった」では済まされなかった。これからはタレントサイドにも会社任せではなく、より一層のリスクマネジメントが求められる。

(文化部デスク・山下康幸)