インタビューは難しい。つくづくそう感じる。

 ベテラン俳優、ミュージシャン、グラビアアイドル、はては五輪日本代表からボクシング世界王者、さらには男セン街頭淫タビューの一般女性…。読者が読みたい東スポらしい記事を書けるかどうかは、取材対象者がどういう回答をするかにかかっている。そして、その回答を引っ張り出すには記者の質問に負うところが大きい。近くにはマネジャーが目を光らせ、あらかじめNG質問が決められることもある中、どんな質問を切り出すか。そこがインタビューの悩ましさでもあり、醍醐味ということもできるだろう。

 だが、どんなにドンピシャな質問でも、もともと取材対象者の機嫌が悪くては、なかなか切り返すのは厳しい。

 あるお笑いトリオもそうだった。書籍を発売するというので、そのPRも兼ねた短期連載ができないかという売り込みが先方からあった。マネジャーと打ち合わせし、あるイベント終わりで個別取材をすることになったのだが、控室に入ったときのただならぬ空気にこちらは気おされてしまった。普段、メディアに登場するときの底抜けに明るい感じとは180度違うのだ。

「ちょっと仕事が立て込んでいて、疲れているみたい…」とマネジャーも困惑顔。

 それでも、連載枠はすでに確保してあり、貴重な取材時間を無駄にするわけにはいかない。とりあえず、いろいろなボールを投げてみるものの、返ってくるのは「はあ」「そうですね」「どうだったかな」という要領を得ない返事ばかり…。それどころか、わずらわしい雰囲気すら醸し出してくる。筆者は冷や汗ダラダラだ。

 すると、見かねたのだろう。トリオの中で最も冴えないメンバーが一生懸命、それも面白おかしく答えてくれるようになった。それで何とか記事は格好がついた。筆者が安堵したのは言うまでもない。

 このケースはまだいい。最悪だったのは超有名グラビアタレントXだった。

 インタビューと撮影のため、事務所に指定された某ホテルに行くと、Xが激高している。どうやら、本紙の前に取材していたメディアに納得がいかなかったらしい。マネジャーに暴言を吐くわ、履いていたハイヒールを投げるわ、荒れ狂うのだった。このタレントは、キュートなルックスと、細身なのに巨乳というすばらしい容姿の持ち主。バラエティー番組でも活躍し、好感度も高かっただけに、こんな側面があるとは、とさすがに口あんぐりだった。

 結局、何とか写真だけは収めたが、カンカンのXはすぐに引き揚げてしまい、取材らしい取材もできずじまい。記事が写真雑感程度になってしまったのは、今でも苦い記憶として残っている。

 もちろん、取材対象者だって人間だ。疲れているときもあれば、機嫌が悪いときだってあるだろう。それでも、いかに切り返して、こちらの取材に誘導していくかも記者の力量と言われれば、その通りに違いない。いや、それにしても、Xはひどかった。「また取材してほしい」とお願いされても、なかなか食指は動かない。

(文化部デスク・土橋裕樹)