埼玉西武ライオンズが10年ぶりのパ・リーグ優勝を果たした。

 チーム打率2割7分3厘(リーグ1位)、同196本塁打(同2位)、792得点(同1位)、132盗塁(同1位)の攻撃力は圧倒的でチーム防御率4・24(同6位)、87失策(同6位)のディフェンス面のもろさを補って余りある迫力でライバル5球団をねじ伏せた。

 シーズン前の本紙順位予想で「西武の優勝」を“予測”していた記者にとっては10年に一度あるかないかの「惑星直列のようなシーズン」だった。

 予想の根拠としていたのは、レギュラー争いが予想されていた選手が「それぞれの個人的事情」を抱えた節目のシーズンを迎えていたからだ。

 昨年、辻監督になって積極起用され近い将来の主力と期待される源田、山川、森、外崎、多和田らにとってはレギュラー定着を確実にしなければいけない勝負の年。それに押し出される立場の中村、栗山、炭谷にとってはここで踏ん張らなくては引退が見えレギュラー剥奪に追いやられてしまう正念場の年。そして念願だったメジャーへのポスティング移籍を目指すエース・菊池、国内FA権を取得する主将・浅村にとってもキャリアハイを叩き出したい節目の年であった。

 そしてベテラン、若手、中堅それぞれがそれぞれの強い動機を持って臨んだ2018年シーズンは西武の球団史に残る圧倒的な1年で01年の近鉄以来、チーム防御率が最下位の球団が優勝したプロ野球史上2度目の“奇跡”を生み出した。

 個人事業主であるプロ野球選手にとって、この「明確な動機」を持ってプレーをすることほど重要で難しいことはない。まして、レギュラー陣のほぼ全てが個人的事情を抱えた勝負の年であったことは“惑星直列的”な確率の年だったと改めて思える。

 143試合の全てで4番に座り自己最多の47本塁打、124打点をマークした山川はシーズン終盤「ボクは優勝したことがないので自分のことしか考えられない。全打席、ホームランしか狙っていない」と迷いなく言い放っていた。こんな強い個人的ベクトルを辻監督はうまくまとめグラウンドに解き放っていた。

 ある球団関係者は「黄金時代の西武がまさにそうだった。今の選手と違ってプライベートでは口も利かないような我の強い連中を森監督がうまくまとめ、そのエネルギーを野球に向けさせていた。その点で、その中にいた辻監督にとって今年の選手起用は案外楽だったかもしれない…」とつぶやいた。ただ、黄金時代と違うのは41度の逆転勝利をマークした西武野球にまだ「安定感」という伝統的強さが欠けていることだけだ。

(運動部主任・伊藤順一)