10月の衆院選前に議員引退した亀井静香氏の「感謝の集い」が先日、都内のホテルで行われた。森喜朗元首相、石原慎太郎元都知事から北島三郎、大月みやこら演歌界の大御所、女優の浅香光代が駆けつけ、会場は入場待ちの大行列ができる盛況だった。
各界から慕われた亀井氏は、かつてあの“格闘王”も心酔させた時期があった。2010年の参院選でリングスCEOの前田日明氏が民主党からの出馬準備を進めていたが、支援態勢を巡って、決裂。前田氏は内情をぶちまけ、当時幹事長だった小沢一郎氏と大モメになった。
そこに救いの手を差し伸べたのが当時、国民新党代表で金融・郵政改革担当相だった亀井氏。「小沢の頬をひっぱたくとは見上げた男だ。格闘技の大会(アウトサイダー)で不良更生なんてなかなかできるものでない。国民新党から出なさい」とラブコールを送ったのだ。
前田氏も「亀井さんは郵政民営化に反対するなどぶれていない。本当に血の通った政治家だ」と前向きだったが、最終的には選挙区調整や団体事情で無念の出馬断念となっていた。
当時、双方に密着していた記者は名残惜しそうな2人の様子を察知し、対談をマッチング。政界と格闘界を代表する“暴れん坊”の異色放談が実現した。
開口一番、亀井氏の「小沢だけでなくオレの頬まで、ひっぱたきやがった」に場の空気はピリッとしたが、前田氏も負けていない。「2001年の自民党総裁選で亀井さんはなぜ総裁レースから降りてしまったのか?」と迫った。小泉政権誕生をアシストしてしまったともいえる亀井氏には悔やみきれない痛恨の一件だ。
すると亀井氏は「政策協定で手を打ったオレも甘かった。一夜明けて、全部なくなった。総裁選後に純ちゃん(小泉純一郎氏)と話をしていたら『亀ちゃん、オレ今朝夢精したよ』って。こっちはまじめに言っているのにいい加減にしろよ」と下ネタで織り交ぜての切り返しに前田氏も笑うしかない。
さらにスパイ問題で亀井氏は「中国で通訳に付いた19歳の美女が寝室に来て、着替えまでする。オレも女性は嫌いじゃないから生つば飲みこんで我慢したよ(笑い)」とハニートラップの実体験を披露。ちなみに対談場所は官僚やSPが見守る金融庁の大臣室。こんな亀井氏の飾らない気さくさが多くの人から愛されたのだろう。
亀井氏は議員こそ引退したものの政界を引退したワケではない。昨年は米大統領就任前のトランプ氏に直談判すべくアポなしで渡米し(会えなかった)、来年は北朝鮮へ渡るという。「(人生の)第2幕が始まるんです。なかなかヒマになりません」。まだまだ亀井節が聞けそうだ。
(文化部デスク・小林宏隆)
