【デスク発ウラ話】「SMAPを代表する名曲」に真っ向反論した“切腹監督”

2020年02月20日 12時00分

 人気シンガー・ソングライター槇原敬之容疑者(50)が、2年前の覚醒剤所持などの疑いで逮捕されたことで、同容疑者が2003年にSMAPに楽曲提供した「世界に一つだけの花」が「もう聴けなくなるのでは」と言われている。

 この曲は「SMAPを代表する名曲」と言われ、16年に勃発したSMAP解散騒動では、グループ存続を願うファンの間でCD購買運動が起きた。8月に正式に解散が発表されると運動は加速し、累計売り上げは300万枚を突破した。「平成で最も売れた楽曲」と言われている。

 ただ、かつて、この曲の歌詞を「正しいとは思えない」と、真っ向から反論した人物がいた。島根県の開星高校野球部前監督・野々村直通氏だ。野々村氏は10年の春の選抜大会1回戦で、21世紀枠で出場していた和歌山の向陽高校に1―2で敗れた。試合後「21世紀枠に負けたことは末代までの恥」「腹を切りたい」などと話し、大問題になったことで知られる。

 この野々村氏の連載を私が担当したことがある。その時、野々村氏は、島根県の地元紙にこんな投書が載ったことを明かした。それは「SMAPの歌う『世界で一つだけの花』の歌詞のように、人間はそれぞれが美しく価値あるもの。それぞれが美しく輝いているのだから、野々村監督の発言は許せない」というものだ。

 だが野々村氏は「世界に一つだけの花」が名曲と言われることに真っ向から反論。「この歌にはこんな歌詞がある。『ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン』。でもこれが正しいとは、私は思えない」

 野々村氏が言いたかったのは「最初から『オンリーワンでいい』と思ってはダメ。勝負の世界では、常にナンバーワンを目指すのが当然のこと」という信念だ。勝つために必死になって練習して、そのうえで負けたとしたら、後になっていい思い出になるかもしれないが、最初から「負けても頑張ればいい」なんて言う監督には「生徒は絶対に付いてこない」と断言していた。

 また自身の「末代までの恥」という発言についても、「あれはまだ春の選抜。夏に向けて生徒を鍛えなくてはならない時期なのに、『負けたけどよくやった』なんて言えるわけがない」という思いから出た言葉だったという。

 さらに野々村氏は「最初から『オンリーワンでいい』なんて言うと、競争原理が働かないから何も残らない。『オレは優勝できなかったけど、トップ目指して頑張った。その努力は今の仕事に生きてる』というのがオンリーワン。最初から『人はそれぞれ美しい』なんて、オンリーワンでも何でもない」と強調していた。

 誰もが名曲と言っていた「世界に一つだけの花」に、ここまではっきりと反論したのは野々村氏だけだろう。野々村氏は3月から開星高校の監督に8年ぶりに復帰することが決まったという。信念の指導で部員を育て、再び甲子園でその雄姿を見ることを願っている。

(文化部デスク・藤野達哉)