【デスク発ウラ話】“治外法権”私立校のいじめ自殺が表面化しない理由

2020年01月23日 12時00分

 小中高校でのいじめ自殺が後を絶たない。報道のほとんどは公立校で、教育現場、(学校、教員)、行政(教育委員会)の怠慢、隠ぺいなどが問題視される。一方、私立校のいじめはなかなか表面化しないが、公立学校よりも多いとみられている。

 いじめを担当した弁護士によると「私学の相談がとても多い。公立の数倍です。学校に抗議をすると、『嫌だったらやめれば』と言われ、転校を余儀なくされます」と明かしている。

 表面化しない理由は、その私立校のブランドイメージを落とさないため、学校と加害児童の保護者が結託して、必死にいじめを隠ぺいするからだ。

 被害者側が関係各所に被害を訴えようにも、私立校の壁は高い。人権擁護委員会によると「私学は学の独立、建学の精神を盾に立ち入り検査を拒否する」という。“治外法権”のようなものだ。

 私立校のいじめ問題の所管が各都道府県の私学部であることはあまり知られていない。公立校は教育委員会が指導するのだが、私立校は“お役所”が指導することになる。東京都だったら生活文化局私学部。都議会議員でさえ知らない人もいたので、一般の保護者はなおさら知らないだろう。

 いじめがあったのか、なかったのか…。隠ぺいする私立校に対し、被害者側はこれを証明するのが難しい。私立校が隠ぺいするのなら、私立校を指導する私学部に被害を訴え、調査をしてもらうべきだろうが、うまくいかないようだ。

 現在、都私学部は高校生の時にいじめに遭った女子が心の病気になった際の「PTSD」「鬱病」の診断書を否定し、女子の保護者に追及されている。

 いじめ防止対策推進法第2条に「この法律において『いじめ』とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」とある。「心身の苦痛」として、明確に診断書があるのに、都私学部は認めないのだという。

 保護者は「私学部は、うそだらけの学校の報告書をうのみにして『いじめはなかった』と判断して、こちらのいじめ再調査要求を拒否しました。診断書を否定する私学部が存在するのだから、全国の私学生もかなり見殺しにされているでしょう。いじめは暴行、傷害、殺人、殺人未遂だ。刑事事件として扱うべきです。2013年にいじめ防止対策推進法が施行されたすぐ後に、警察庁通達で『交番でもいいからいじめの被害届は受理するように』とあったことも世間では知られていないようです」と話している。

 いじめ防止対策推進法の内容は素晴らしいが、教育現場やお役所、警察現場、世間に浸透していないようで、風化しつつあるのが残念だ。

(文化部デスク・三浦伸治)