【デスク発ウラ話】アナログレコードの売り上げ増でCDの運命はどうなる?

2019年12月05日 12時00分

 全米レコード協会が先頃発表した中間報告によると、アナログレコードの売り上げが、なんと33年ぶり(1986年以来)にCDを上回る見通しだという。確かにここ数年のアナログレコードブームは、米国に限らず日本でもかなり目立つものではあった。しかし、音楽マニアは別として、そんなに誰もかれもがアナログレコードを買っているのだろうか?

 米国でCDの売り上げが年々激減しているのは事実で、同時にアナログレコード再評価の機運が高まってきたので、この逆転現象はそれほど意外な話ではない。とはいえ、米国においてはCDもレコードも“主流”ではなく、今では有料ストリーミングサービスが圧倒的なシェアを誇っている。だから、昔のようにアナログレコードが全盛になっているわけではないのだ。それでもこの先、CDはさらにシェアを落とし、アナログレコードは少しずつ盛り返しつつもストリーミングサービスの勢いには到底かなわない、ということになるのだろう。

 このストリーミングサービスは、世界的に見ればほとんどの地域で主流となっており、いくらか状況が違うのは日本ぐらいのもの。日本でもストリーミングサービスの売り上げは伸び続けているのだが、他の国に比べれば今のところ、CDがまだ頑張っている。アナログレコードがちょっとしたブームなのは間違いないが、それでも米国のような逆転現象には程遠い。

 日本の場合、海外の一般的なCDと大きく違うのは、“グッズ”としてのニーズがけっこう大きいことだ。聴くだけならストリーミングで十分かもしれないが、凝ったパッケージデザインや豪華なブックレット、初回限定盤などにセットとして付くDVDやブルーレイディスク、ライブの優先申し込み券など、音楽そのものに加えて購買意欲をそそる高い商品力を備えているのである。アイドル系やアニメ系のCDなら、それ自体が立派なグッズ。ストリーミングで済ませるわけにはいかないというわけだ。

 アナログレコードはしぶとく生き残りそうだが、全世界的にはCDの命運は風前のともしび。しかし、ここ日本でだけは、ガラパゴス的にCDが生き永らえるのかもしれない。

(文化部デスク・井上達也)

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