日本相撲協会は26日午後に東京・両国国技館で年寄総会を開き、親方衆と人材育成業務の委託契約を結び直した。各親方が新たな契約を結ぶ中、春日山親方(40=元幕内浜錦)は手続きに必要な年寄名跡証書を提出しなかったため、契約が更新できない事態になった。相撲協会は証書の提出期限を1月16日まで猶予したが、他の親方衆からは「すぐにクビにしろ!」と追放論が噴出。一体、春日山親方の何が問題視されているのか?
春日山親方は先代親方の岩永祥紀氏(50=元幕内春日富士)と年寄名跡証書の引き渡しを求めて控訴審で係争中。8月の一審判決では、春日山親方が証書の対価として岩永氏に1億7160万円を支払うよう命じられた。この日の午前には東京高裁で岩永氏と和解協議を行ったものの、条件面で折り合わず、証書を受け取ることができなかった。
これを受けて、相撲協会は証書の提出期限を次回の和解協議が行われる1月16日まで猶予することを決定。春日山親方は年寄総会の場で「16日までに提出できなければ年寄(親方)を辞める」と明言したが、他の親方衆からは「すぐにクビにしろ!」などと追放論が相次いだという。
そもそも、証書に関しては春日山親方と岩永氏の個人間の問題。なぜ、ここまで周囲から問題視されるのか。
年寄名跡証書は親方として弟子を指導・育成するための「教員免許」のようなもの。春日山親方に命じられた約1億7000万円という金額の正当性は別にして、各親方は先代所有者から証書を引き継ぐため、相応の対価を支払うのが慣例になっていた。そのため、多額の借金を背負っている親方も少なくない。証書を持たずに親方として相撲協会から報酬を得ることは、他の親方衆の目には“抜け駆け行為”と映っている。
10月12日に相撲協会が春日山親方に対して師匠辞任勧告を出した際には、一部のメディアが「(神奈川県の)川崎で唯一の相撲部屋がなくなってしまう」と春日山親方に同情的な論調で報じたが、親方衆の反応は真逆。ある親方は「協会が悪者みたいに言われているけど、証書も持ってないやつが、師匠をやっているほうがおかしい」と不快感をあらわにした。もはや春日山親方は、角界内では四面楚歌の状況と言っていい。
春日山親方は総会後に「話せることはない」とだけ述べ、両国国技館を後にした。今後も引き続き岩永氏と和解に向けた話し合いを継続するが、現時点で両者の間には条件面で大きな隔たりがあるもよう。岩永氏の代理人は「一審判決が出ている中で、不当に譲歩して解決する必要はない」と安易に妥協しない方針を示している。
果たして、1月16日の最終期限までに和解の糸口は見つけられるのか。












