あの「お騒がせ横綱」のつぶやきの真意は――。大相撲秋場所11日目(24日、東京・両国国技館)、新入幕の逸ノ城(21=湊)が大関稀勢の里(28=田子ノ浦)をはたき込みで撃破。2桁白星の10勝目を挙げると同時に、1敗を守って堂々のV争いを演じている。この状況に、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(33)が突如、意味深ツイートを連発。現役のモンゴル出身力士たちからも“不気味な存在”とされる怪物の周囲は騒がしくなってきている。
初挑戦の稀勢の里を撃破して10勝目を挙げた逸ノ城は「うれしいです。冷静にはたき込んだ? 決まってよかったです」。普段の仏頂面を崩して笑みをこぼした。幕下付け出しデビューから5場所目の大関戦初勝利と幕内2桁白星は、年6場所制が定着した1958年以降の最速記録。まさに“モンスター級”の暴れっぷりだ。
この強さに思わず声を上げたのが朝青龍だった。打ち出し後に自身のツイッターに逸ノ城の写真入りで「このカキ(ガキ)横綱なるよ!(笑)」とコメント。続けざまに「日本からとうぶん横綱誕生ないだろう!」とツイートした。
逸ノ城のスケールの大きさに横綱の資質を見いだした様子だが、それと同時に日本人力士の力不足にも言及。「まず、なぜ日本人が弱ているの?ハングリー精神がないとう言うわない、足りない!夢だけ考えている!自分自身動力(努力?)しない!家族愛足りない!甘いもの食い過ぎ!」(原文のまま、一部補足)とぶった切った。
朝青龍は暴行事件などさまざまなトラブルを起こして引退を余儀なくされたが「相撲人生あるから僕ここにいる。(中略)日本人礼儀正しい素晴らしいと思います!大変お世話になりまさした!厳しく育てるのこれからが大事です!」と相撲界に恩義を感じている。それだけに日本人力士の弱体化を嘆き、厳しい稽古なしに逸ノ城に勝てる力士は現れないと見ている。
モンゴル遊牧民出身の関取は逸ノ城が初めて。朝青龍でさえ舌を巻く遊牧民とはいったいどんな存在なのか。横綱鶴竜(29=井筒)は「あの子はモンゴルでも“本当の田舎”から来た子。遊牧民は少数派? そうですね。昔に比べると、今はだいぶ減ってきていますから」と証言する。
モンゴル人にとって遊牧民は「ルーツ」とはいえ、現在は大半の国民が首都ウランバートルなどの都市部で生活している。鶴竜は父親が大学教授のインテリ一家に生まれ、横綱白鵬(29=宮城野)も母親は元医師。幼いころから近代的なマンションなどで暮らし、文化的な環境で生まれ育った。遊牧民の生活を知識として理解しているつもりでも「リアル遊牧民」の暮らしを実体験しているわけではない。出身国は同じでも逸ノ城は全く“異質”な存在として受け止められているようだ。
さらに、逸ノ城の身長192センチ、体重199キロの巨体ぶりも脅威になっている。鶴竜は「モンゴルにも、ああいう子がいるとは。あの年で、あれだけ体が大きい子というのは珍しい。うらやましい? そうですね…」と驚きを隠さない。
鶴竜や白鵬が入門時にやせ細った体格だったことは有名だ。角界入りの年齢が異なるとはいえ、入門して1年に満たない青年の規格外のボディーはモンゴル人の基準をはるかに超えている。
12日目に新大関の豪栄道(28=境川)と対戦。13日目以降には横綱に初挑戦する可能性もある。逸ノ城は「次の目標? 特にないです。一番でも勝てるように頑張りたい」。土俵に吹き荒れる「怪物旋風」。それはどこか謎めいたものになっている。
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