政府は12日の臨時閣議で、第2次岸田改造内閣の副大臣と政務官計54人を決めた。うち少なくとも自民党議員14人が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側とパーティー券の購入や会合への出席などで接点があったことを本人や事務所が認めた。その旧統一教会は北朝鮮で日本食ビジネスを行っていた。日本では霊感商法による荒稼ぎなどが問題となってきたが、北朝鮮で展開していたのは特権階級向けの高級しゃぶしゃぶ店だ。その実態とは…。

 安倍晋三元首相銃撃犯・山上徹也容疑者を凶行に駆り立てたとされる旧統一教会のあらゆる面がクローズアップされている。

 創始者の故文鮮明教祖は、1950年代初頭の朝鮮戦争で分断される前の北朝鮮で生まれた。「そんな経緯もあり故金日成主席、息子の故金正日前総書記、そして今の金正恩総書記とも友好関係を築いてきた」とは、朝鮮半島情勢の民間研究者。

「強いコネを利用し、自動車工場を設立したほか、経済難に陥った北朝鮮側から、古くからある首都・平壌市内のホテルやレストランの経営権を譲り受けた。中でも経営に力を入れていたのが『安山館(アンサングァン)』という飲食店。従来あった朝鮮料理とは別に、しゃぶしゃぶ屋としてリニューアルしていた」

 店構えは水色のタイル張りで、入り口の上には金のハングル文字で店名、右側には「各種料理」「プルコギ」「結婚式」と3段で書かれている。かつて訪れた在日朝鮮人男性は「朝鮮語、英語、日本語でメニューが書かれていた。値段は公定レートのウォン表記で、外国の高官や私のような在外同胞、また平壌の特権階級が利用する高級店」と明かす。

 すしやおでんは壁の写真だけ
すしやおでんは壁の写真だけ

 正日氏の専属料理人だった藤本健二氏は1980年代、この店ですしを握った。確かに館内には、すしやおでんの写真が掲げてあったが、渡されたメニューにはしゃぶしゃぶしか載ってなかったそう。藤本氏は当時、平壌市内で別のすし店の経営で忙しく、男性の印象では「藤本さん以外の日本人を呼んで、店をプロデュースしている雰囲気だった」とのことだ。

 デザートも「白玉ぜんざい」「きな粉もち黒みつかけ」「くずきり黒みつ」など和スイーツが8種類と充実。男性は「北朝鮮では、日本に敵対感情を抱くよう教育されており、日本料理店は限られている。日本食は“敵国の食い物”という位置付けで、日本固有の『しゃぶしゃぶ』は珍しい。あそこは金持ちがお忍びで訪れる場所で、私が行った時は繁盛していた。宣伝メディアにも出てこないのに…」と振り返る。

 前出研究者いわく「この店は外貨獲得の拠点という意味合いも持つ」。海外から拉致してきた女性を“接待係”として働かせ、客と売春させていた…なんて物騒な証言もあるという。

 ただ北朝鮮は、コロナ防疫の名目で一昨年1月から、外国人や在日朝鮮人の入国を認めていない。輸出入の停止に加え、コロナ禍や水害で食糧難に陥っているという見方があり、この怪しげなしゃぶしゃぶビジネスが「今あるかないかは不明」(前出男性)とのことだ。