プロレス団体ドラゴンゲートのドン・フジイ(45)が、20日に急逝した日本相撲協会の北の湖理事長(享年62=元横綱)への思いを明かした。

 フジイは中学校卒業後に北の湖部屋に入門し、1995年9月に廃業。プロレス界では唯一の北の湖理事長の愛弟子として活躍している。師匠の突然の訃報に「15歳のときから人間をつくってもらいました。20日はたまたま博多でオフだった。(最後の)あいさつをしようと北の湖部屋に行ったんですが、帰ってこなかったのでオヤジの布団に手を合わさせてもらいました。今は胸にぽっかり穴があいた感じ」と悲痛な表情を浮かべた。

 プロレスラーになってからも地元大阪の春場所の際は毎年あいさつに訪れ、食事をともにするなど親交が深かった。昨年の春場所中には「達樹(フジイの本名)、お前の試合テレビで見たぞ!」とうれしそうに語ってくれ最高の励みになった。

 フジイから見た北の湖理事長は「多くは語らないけど人思い」な師匠だった。廃業時に実家の肉屋を継ぐと伝えたが、レスラーになる夢を諦められず短期間で再上京。急展開に筋を通すため北の湖部屋に再度、報告に行った。「正直、親方に怒られるかなって思って覚悟してたんです。でもあいさつに行ったら『分かった。ちゃんこ食べていけ』とだけ言ってもらって。器の大きい人だなと改めて思いました」と当時を振り返った。

「寺尾関(錣山親方)が言っていたように、本当に『男の中の男』。最強横綱と理事長を務め上げて、お疲れさまでした」と故人をしのんだフジイ。土俵ではなくリングの上で、北の湖理事長の教えを守り続ける。

 故人に対しては、23日に開かれた横綱審議委員会の冒頭で11人の全委員と八角理事長代行(52=元横綱北勝海)、貴乃花理事(43=元横綱)らが黙とうをささげた。