今季も最強セットアッパーによる奪三振ショーが幕を開けた。ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(25)が、7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で圧巻の投球を見せた。

 リードして迎えた8回にマウンドに上がると、先頭の代打・杉谷をキレキレのカーブで3球三振。続く大田からは152キロ直球で見逃し三振を奪った。最後も代打・松本剛に153キロの直球で再び3球三振。2つの3球三振を含む3者連続三振の投球だった。

「今季初登板だったので緊張しました。野手の皆さんが点を取ってくれたおかげで、気持ちが楽になり自分らしい投球ができたと思う。合流は遅れましたが、これからたくさんチームに貢献できるように頑張っていきたい」と胸を張った。

 そんなスーパー左腕が今オフに有力視されているのがメジャー挑戦だ。球団関係者は「言われているようにバイデン大統領のもとでメジャー移籍が解禁されれば、キューバからすればモイネロは第1号の目玉にもなる。何としてでも残ってほしい選手だが…。太刀打ちできない金額にまでなるんじゃないか」と話す。

 2018年のオフに米大リーグとキューバ野球連盟はポスティングによる移籍制度が合意に達した。これまでのように「亡命」をすることなく移籍できるシステムだ。キューバへの強硬策を取っていたトランプ前大統領がストップをかけたことで実現しなかったが、新たにバイデン政権が誕生したことで、止まっていた時計が動き出すと日米球界で見られている。

 昨年1月に亡命の手段を取った前ソフトバンクのコラスは、今季ホワイトソックスとおよそ3億円で合意したと報じられた。モイネロであれば最低でも年俸ベースでは10億はくだらないとも見られており「タイプ的にはメジャーのマウンドが合う。引く手あまたになるんじゃないか」(チーム関係者)との予測もある。

 メジャーはモイネロ自身の夢とも言われる。かねて球団フロントからも「彼に(米挑戦の)夢があるのは知っている」との声があった。ソフトバンクとの契約は今季でひとまず切れる。政局に左右される面もあるのがキューバ選手の悲哀でもあるが…。NPB最強の呼び声も高い左腕の動向に注目が集まる。