そりゃないよ…。2020年東京五輪に向けて新階級と新たな計量方法が導入されたレスリングで、8月のアジア大会(インドネシア)で旧階級、旧方式で実施される可能性が浮上した。日本協会の栄和人強化本部長(57)は「本当に困っている。調査中だが、もし決定通り、旧階級、旧方式で行うのなら考え方が理解できません」と苦い表情を浮かべる。

 これまで各大会で男子フリー、グレコ、女子各8階級(五輪は各6階級)を実施し、試合前日に計量を行ってきた。今年から各10階級に増えるが、6階級で行われる五輪も、リオデジャネイロ五輪で金4、銀1を獲得した女子は48、53、58、63、69、75キロ級から50、53、57、62、68、76キロ級と設定階級(男子フリーは変更なし)も変化した。

 新方式では試合を2日間実施し、ともに当日朝に計量を行う。日本は昨年末の全日本選手権から新階級と新方式を導入。世界選手権(10月、ブダペスト)、そして東京五輪に向け選手たちも体づくりを行っている。いまさら旧階級、旧方式で試合に臨むのは過酷だ。

 アジア大会は世界レスリング連合(UWW)ではなく、アジアオリンピック評議会(OCA)が主催する国際総合大会。だが、レスリングの新階級が決定後、大会側から階級変更の報を待っていたが、実施年に入っても来ないという。

 栄本部長は「このままなら大会2か月後に世界選手権を控える選手の負担が大きすぎる。代表を分けることも考えなければならなくなる」と、今後の対応に頭を痛めていた。