【レスリング世界選手権】高橋の男子フリー57キロ級「金」で王国復活!史上初の快挙

2017年08月26日 16時35分

3度目の正直で世界一に輝いた高橋(ロイター)

【フランス・パリ25日(日本時間26日)発=吉沢修一通信員】レスリングの世界選手権5日目、男子フリー57キロ級決勝で、高橋侑希(23=ALSOK)がトーマス・ギルマン(23=米国)を6―0で下し、金メダルを獲得した。フリーでは1981年大会52キロ級王者の朝倉利夫以来36年ぶりの快挙だ。これにより、同一大会でのフリー、グレコローマン、女子の全スタイル金メダルは五輪、世界選手権を通して日本史上初の偉業。レスリング王国完全復活を印象づけ、2020年東京五輪へ向けて大きく弾みをつけた。

 3度目の世界挑戦で、高橋は悲願の金メダルを獲得した。第1ピリオド、勢いのあるタックルで相手に場外逃避の警告を与え2ポイントを先取する。さらに相手の片足を取って倒し、2ポイントを追加。第2ピリオド、相手の反撃をうまくしのぐと、グラウンドの攻防で2ポイントを奪いダメ押し。終始安定した力で世界の頂点に立った。

「世界チャンピオンになれてよかった。まだそんなに実感はない。つらい経験があっても、折れずにつらい練習を毎日したおかげで世界一が取れた。辞めずに続けて本当によかった」としみじみ語った。

 初出場の14年大会で5位入賞を果たしたが、翌年のリオデジャネイロ五輪予選を兼ねた15年大会は9位と振るわず。最終的にリオ五輪出場も逃した。失意の高橋を奮い立たせたのは家族だ。特に股関節に先天性の病があり、大好きなレスリングを長く続けることができなかった弟の拓也さんの存在は大きい。「レスリングが嫌いなのにしぶしぶやっている人もいる。『もっと頑張れるのに、できない弟に譲ってやれ』と思います。僕は弟の分も、と思うし、頑張る原動力。弟には『もっと頑張れるんじゃないの? 頑張ってよ』と言われます。僕は強い兄でいたい。優勝は、家族も喜んでいると思う」と涙を浮かべた。

 今年は好調を維持し5月のアジア選手権で優勝したが、そこには高橋のひと回り成長した姿があった。「優勝した翌日ですよ。練習会場に来て、ギラギラした目で練習相手を探しているんです。もう試合がないのに。これは何か感じたんだと思いました」(日本レスリング協会・西口茂樹強化副本部長)。優勝に満足することなく、海外選手との数少ない練習チャンスを逃さない姿勢。地道な努力が今回の大躍進につながった。

 東京五輪で実施する新階級が決定し、フリーは57キロ級が残った。現在は61キロ級を主戦場としているリオ五輪57キロ級銀メダルの樋口黎(21=日体大)ら、国内強豪との争いが予想される。「日本では強い軽量級がごろごろいる。世界チャンピオンと言っている暇はないです。みんなで切磋琢磨して、日本の軽量級は日本で勝てば世界で勝てる、というようになりたい」。おごらず、気持ちを引き締め、東京五輪Vを目指す。

 今大会はもう1日を残しながら、日本の躍進が目立った。男子グレコ59キロ級で文田健一郎(21=日体大)が金メダル、女子も4階級制覇を成し遂げた。女子がスタートしたのは世界選手権が87年大会、五輪では04年アテネ大会だが、フリーの高橋の優勝で、日本レスリング史上初めて同一大会で3スタイル金メダル揃い踏みの大快挙。女子に長らく押されていた男子が世界の頂点に立ったことで、地元開催となる東京五輪への期待がさらに高まってきた。