レスリングの世界選手権(8月、パリ)男子フリー70キロ級に、期待の若手が初出場する。幼少から主要タイトルを獲得し、高校では2020年東京五輪に向けた「ターゲット選手」に選ばれた藤波勇飛(21=山梨学院大)だ。「初出場で初優勝はかっこいい。狙っています」と、プロゴルファーの石川遼(25=CASIO)似と言われる端正な顔をニヤリと崩しながら話した。

 世界選手権代表選考会を兼ねた昨年末の全日本選手権は65キロ級でエントリー。しかし減量に苦しみ計量前に倒れ、救急車で病院に運ばれた。世界レスリング連合(UWW)が東京五輪に向け階級変更を行うこともあり、6月の全日本選抜選手権から70キロ級にアップ。同大会で見事に優勝し代表決定プレーオフも制して、パリ行きの切符を獲得した。

 小学2年の時に父・俊一さんが指導する三重の「いなべレスリングクラブ」で競技を始めた。当時はちょうど04年アテネ五輪が行われており、金メダルを獲得した吉田沙保里(34=至学館大職)の姿に「すごいな」と感動した。吉田の母校・至学館大には子供のころから何度か出稽古に行っており、吉田も「勇飛」と呼びかわいがっている。以前は地下アイドルグループに「相当つぎ込みました」と熱を上げた時期もあったが、今はレスリング一筋。世界の表彰台を目指し、大一番に臨む。