レスリング女子75キロ級でリオ五輪代表を確実にした渡利璃穏(24=アイシンAW)がさらなるパワーアップに励む。

 アジア予選(カザフスタン・アスタナ)で優勝し、女子で唯一取れていなかった国別代表枠を獲得した渡利は21日、成田空港に帰国。五輪代表へ大きく前進し「たくさんの人に出迎えられて、実感がわいてきた」と喜びをかみしめた。

 最終決定は25日。昨年ケガで世界選手権代表を辞退した鈴木博恵(28=クリナップ)とのスパーリングが行われた後、強化委員会で決まる。栄和人強化本部長(55)は鈴木の代表入りの可能性について「よっぽど差を見せて勝てば。ひきょうなことはしない」と話したが、同時に小差なら敗れても渡利有利との考えを示した。それほど、アジア予選で与えたインパクトは大きかったという。

 渡利も気を引きしめつつ、リオを見据えた強化を行っていく方針だ。特に体重の増加は課題の一つ。昨年9月の世界選手権後に63キロ級から転向し、食事を1日5食に増やしたものの、体重は71キロで止まった。そのため今大会ではパワーの差を痛感。「軽いと感じた。五輪では72~73くらいあったほうが(得点を)取られにくくなる」とさらなる増量を見据えている。

 目指すはリオでの金メダルだけ。渡利が加入すれば、全6階級のうち「うまくいけば、5階級で金メダルを取れる」(栄強化本部長)と計算するほど最強の布陣が完成する。島根・松江市出身で、男子テニスの世界ランキング6位・錦織圭(26=日清食品)と同郷。「同じ出身地の方が活躍してるのはうれしい」と刺激を受ける渡利が、世界へ羽ばたく準備を整えていく。