レスリング女子58キロ級の伊調馨(31=ALSOK)が前人未到の五輪4連覇へ向け「超攻撃スタイル」を完成させる。

 全日本選手権2日目(22日、東京・代々木第二体育館)、伊調は増田奈千(22=環太平洋大)に1分13秒、フォール勝ちし、全試合無失点で通算12度目の優勝を飾った。9月の世界選手権では全試合無失点での金メダルにもかかわらず「25点」と自己採点したが、今回も辛口。直前に体調を壊したこともあり、「全部含めて高得点はあげられない」と笑顔はなかった。

 リオ五輪前の国内での試合はこれを最後にし、今後は1月のヤリギン国際大会(ロシア)を含む欧州の国際試合で調整する計画だ。「私にはヨーロッパスタイルは経験不足というか、もうちょっと手合わせしたい。日本人ともアジア人とも、アメリカとも違う」。世界選手権の戦いを通じ、気づかされたという。

 だが、その目的は防御を磨くというより、攻撃力の強化。「(欧州スタイルは)返し技もそうですし、しがみつく力も強い。そういった選手にどう対応するか」と狙いを明かす。決勝では増田に開始早々、左足タックルからしがみつかれた。得点は与えなかったが、反撃の展開が遅くなったことを悔やんだ。

 指導する田南部力コーチ(40)も「攻めるレスリングを徹底したい。タックルとがぶりと交互にできるのが一番いい。ディフェンスが強い人からもポイントを取りたい」と伊調の目指す究極のスタイルを説明した。

「攻撃は最大の防御」を追求すれば、無失点での五輪金メダルも見えてくる。一体、どこまで強くなる気なのか。「完全無欠のレスリング」を求める姿勢はリオを前にしても変わりない。