【ネバダ州ラスベガス8日(日本時間9日)発】レスリング世界選手権(オーリンズ・アリーナ)2日目は男子グレコローマン4階級が行われ、日本は全階級で初戦敗退。まだ1階級残っているものの「メダル1、リオ五輪国別出場枠3」の目標を大きく裏切る惨状に、西口茂樹男子グレコ強化委員長(50)は「立て直さないと日本のグレコが終わってしまう」と険しい表情だった。

 初日に3階級が全滅。嫌な流れを断ち切ろうと、先陣を切った59キロ級の田野倉翔太(25=クリナップ)は昨年3位のスティグ・アンドレ・ベーグ(ノルウェー)に1―2で逆転負け。「めちゃくちゃ緊張していた。マットに上がった記憶がないです」。2013年12月の階級変更で55キロ級が廃止され、一度は引退も考えた。4キロを筋肉だけで増やしたが、肉体は悲鳴。昨年11月に腰を負傷し、今大会も右股関節を痛めていた。体のハンディを補い、戦い方を工夫したが、世界の壁は厚かった。

 非五輪階級の71キロ級は花山和寛(23=自衛隊)が0―2で黒星を喫し「結構差があると感じた」。腰の故障で春を棒に振り、五輪階級で戦えなかった無念を晴らすことはできなかった。同じ非五輪階級の80キロ級・前田祐也(21=拓大)も3―4でごう沈。サッカー少年が拓大の須藤元気監督(37)の総合格闘技の試合を見て高校からレスラーに転向。メダルを狙ったが及ばず「ばててしまった」。130キロ級の園田新(21=拓大)も0―4と屈し「これで本当に五輪にいけるのか」。筋力アップと1日1升の白米を食べてきたが、結果はついてこない。

 五輪枠どころか「1勝」が遠いグレコ勢。西口氏は「世界最弱と言われても仕方ない。大変申し訳ないけど、惨敗。このままだったら、グレコのお金をフリーと女子に回そうと言われても正論」。日本グレコの火が消えてしまうのか。