伊調が強すぎて…レスリング全日本選抜で“珍事”

2015年06月03日 10時00分

強すぎる伊調(右)

 レスリングの世界選手権(9月、米国)代表選考会を兼ねた全日本選抜選手権が19日から3日間、東京・代々木第二体育館で行われる。世界選手権でメダルを取れば、2016年リオ五輪代表の座がほぼ決まる。五輪へ向け最初の関門となる重要な大会だが、五輪実施階級である女子58キロ級にはなんとわずか3人しか出場しない“珍事”が発生。理由はやはり五輪3連覇中の世界女王・伊調馨(30=ALSOK)が強すぎるようで…。

 

 リオ五輪が来年に迫り、出場権争いが本格化している。全日本選抜選手権は、五輪出場につながる世界選手権代表を決める大事な試合。誰もが出場を望む場だ。権利を持つ選手に強化委員会からの推薦選手を加え、各階級で十数人が出場する。ところが、女子58キロ級に限り出場選手がわずか3人しかいない珍事が発生。女王の伊調と大学生2人がエントリーしただけなのだ。

 

 世界選手権2連覇中の登坂絵莉(21=至学館大)のいる48キロ級や最強女王・吉田沙保里(32=ALSOK)の53キロ級は12人がエントリーしているように、日本は軽量級の選手層が厚く、中量級以上になると人数が減る傾向はある。しかし、この“3人現象”は選手層だけが理由ではない。

 

 現在、レスリングでは3スタイルそれぞれ8階級があるが、五輪に限り実施階級が6階級に減る。五輪出場につながる大会では当然、五輪実施階級に選手が集まるものだ。しかし、今大会は女子58キロ級を挟み、ともに非五輪階級で体重が下と上の階級にエントリーが集中。55キロ級に11人、60キロ級に8人と逆転現象が起きた。

 

「たとえ五輪階級でも、強すぎる伊調に挑戦するより、五輪階級ではなくても優勝して世界選手権出場を選ぶ選手が多いということでは」(日本レスリング協会関係者)。昨年大会でも58キロ級が4人で55キロ級6人、60キロ級10人だったが「強すぎる伊調」の認識はますます強まっているようだ。

 

 今大会はトーナメント方式で行われるため、現状では伊調はシードされるので決勝1試合のみ。たとえ特例でリーグ戦が組まれたとしても、2試合だ。1試合で優勝できれば喜びそうなものだが、試合数をこなしたい伊調は「もっと試合がしたいです」と心の底から残念がっている。強すぎるため困った事態になるとは…これも「最強」の宿命かもしれない。