“霊長類最強巡業”がスタートだ。レスリングの女子日本代表が13日、熊本市での合宿を公開。五輪4連覇を目指す53キロ級の吉田沙保里(32=ALSOK)や世界選手権48キロ級女王の登坂絵莉(21=至学館大)らが精力的に練習に取り組んだ。

 世界15連覇の最強女王らをひと目見ようと、平日は約150人、土曜日には約500人もの市民が集まる大盛況だ。「これまではいろんな場所で練習する機会がなかったので新鮮。大歓迎を受けてありがたいです」(日本レスリング協会・栄和人強化本部長)。くまモンや武将隊も歓迎。馬刺しなど、熊本名物も堪能した。

 これまでレスリング女子の地方合宿は、“虎の穴”と呼ばれる新潟・十日町市の山中にある桜花レスリング道場がもっぱらだった。人里離れた場所で集中した練習ができたが、さらに新しい場所へ出向くことで新鮮な気持ちで体を鍛えることができる。「新しい場所は刺激になります。2020年東京五輪まで、今後も東京や新潟以外でもやるつもり。来年は男女3スタイルで富士山を登山したい」(栄本部長)。世界を制するために、日本が誇る世界遺産を制する計画もぶち上げた。

 吉田は現在、首から背中に広がる左僧帽筋に張りを抱えるが「全力でやらなければ進化はない」とやる気十分。9月の世界選手権(米国)代表選考を兼ねた6月の全日本選抜選手権に照準を合わせ、女王は新たな環境でメキメキと調子を上げている。