【ノルウェー・オスロ10日(日本時間11日)発】レスリングの世界選手権最終日、男子グレコローマン63キロ級3位決定戦で、清水賢亮(22=拓大)がハンガリー選手を2分47秒、10―1のテクニカルフォールで下し、初出場で銅メダルを獲得した。1998年長野五輪スピードスケート男子500メートル金メダリストの清水宏保氏(47)が叔父という最強遺伝子の持ち主。輝かしい世界デビューで、2024年パリ五輪に向け弾みをつけた。

 先制されても常にプレッシャーをかけ続け、優位に試合を進めた。勝負のグラウンド戦。相手を高々と持ち上げると、豪快に後ろにぶん投げ5ポイントをゲット。さらに相手の体を返すなど得点を追加し、グレコローマンの魅力満載の試合運びで観客をくぎ付けにした。「自分でもびっくりするくらいうまくいきすぎた。3決の舞台を楽しむことができた」と振り返るほどの圧勝だった。

 世界で勝つために、最高の師匠が身近にいた。「ロケットスタート」など、驚異の肉体から繰り出すスケート技術で世界を制した宏保氏を叔父に持つ。大レジェンドを小さいころから「ヒロくん」と呼ぶ22歳は、叔父から世界と戦う練習方法や心構えを伝授されてきた。

 昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響による自粛期間中には、宏保氏と一緒に練習。下半身強化法を学んだ。また、「海外勢の身体能力はマネできない。自分にあったスタイルをつかむことが大事」とアドバイスを受け、防御技術などに生かした。この日もスタンドで相手を圧倒するなど、叔父譲りの強靱な下半身を大きな武器にした。

 表彰台に立ったが、銅メダルで満足はしていない。「欲を言えば準決勝で勝ちたかった。スタンドは押し勝っているくらいで、世界でも通用するなと思ったので、グラウンドの守備を強化したい」と課題を挙げた清水。グレコ63キロ級は非五輪階級。目標のパリ五輪に向けて、階級変更が必要になる。「上げようとは思っています。時間が全然ないので、67キロ級で戦える体をつくりたい」。世界の銅メダルとともに、パリへと突き進む。