【ノルウェー・オスロ8日(日本時間9日)発】レスリングの世界選手権7日目、男子グレコローマン55キロ級決勝で松井謙(20=日体大)がロシア選手を7―1で下し、金メダルを獲得した。日本協会によると、20歳8か月の松井はグレコの日本勢史上最年少という。

「まさか自分が優勝するとは。驚いています」と松井はびっくり顔。0―1で迎えた第2ピリオド、得意技の縦の俵返しなどで逆転に成功した。「相手は格上。自分の技を全部出し、悔いのないようにしようと思った」と語った。

 非五輪階級のグレコ55キロ級には世界王者クラスが出場。初参戦の松井は完全なダークホースだった。今大会でグレコを率いる笹本睦監督(44)も「私もびっくりしています」と20歳の大化けを喜んだ。「黙々とよく練習する選手。今回は、いつもコロコロ返されるグラウンドの守備が徹底できていた。毎回、返されるたびに、なぜかを自分で研究してきた成果が出た」と積み上げた努力が実を結んだと評価した。

 2017年大会59キロ級を21歳8か月で制した東京五輪銀メダリスト・文田健一郎(25=ミキハウス)の記録を塗り替えた。同門の先輩に続く世界制覇に「ずっとかっこいいなと思っていた。自分も少し近づいたかな、と思うとうれしい」と笑顔。東京五輪で銀1、銅1のメダルを獲得し、勢いづく日本グレコに、また頼もしい新星が現れた。