レスリングの世界選手権5日目、女子50キロ級で吉元玲美那(21=至学館大)が見事な逆転劇で世界の頂点に立った。決勝の相手は東京五輪銅メダルのヒルデブラント(米国)。先制点を奪われ追う展開になったが、焦らずに攻め、5―3で勝利した。「普段から最後まであきらめないことを意識して練習してきた。体力には自信があったので、最後は自分の手が上がるようにと戦った」と、豊富な練習量に裏打ちされた自信で勝利を引き寄せた。

 大学の先輩で大レジェンドの吉田沙保里(39)は大会前、吉元について「練習をものすごくやる。やりにくい、攻めにくい選手なんです。最近は攻撃にも磨きがかかっている。今大会が楽しみ」と期待を寄せていた。東京五輪の同級は須崎優衣(22=早大)が金メダルを獲得。吉田は「ここで負けていたら、須崎選手に勝つのは難しいかな」と後輩に“課題”を出していたが、見事にクリアしてみせた。

 目標のパリ五輪へ最高のスタートとなったが、最大のライバルは、その須崎となる。「もっと練習をして体力技術、気持ちも強くしたい。いつかは対戦すると思うので、もっと強くなりたい」(吉元)。代表争いで絶対に避けられない五輪女王との対戦を視野に入れ、さらに自分を磨く。