東京五輪レスリング女子53キロ級決勝(6日、幕張メッセ)で、向田真優(24=ジェイテクト)がホウ倩玉(中国)に5―4で逆転勝利。悲願の金メダルを手にすると、セコンドについた婚約者の志土地翔大コーチと歓喜の抱擁を交わし、ともに涙を流した。

 試合後、取材エリアには目を真っ赤に腫らした志土地が現れて「真優を信じた」「真優がはね返してくれた」とパートナーを大絶賛。取材を終えて記者団の前から去ると、入れ替わるように向田がやって来た。やや照れ笑いを浮かべながら「この金メダルすごく重くて。今まで翔大コーチと二人三脚で頑張ってきて、五輪で金メダルっていう2人の夢をかなえることができて、とてもうれしいです」と目を輝かせた。

 劣勢をはね返した試合については「1ピリオド目が終わった時に翔大コーチに〝ここで出さないと絶対に悔いが残る。絶対に取りに行くぞ〟って言ってもらえて、気持ちを切り替えて何が何でも取りにいこうと思って、いけたので良かった」と振り返った。

 試合中、翔大コーチの声はしっかり耳に届いており「ずっと聞こえて、すごく心強かった。ホントに2人でずっとやってきたので、ここで金メダルを取らないと一生後悔すると思って残り15秒くらい、気持ちで戦いました」と話した。

 五輪3連覇の吉田沙保里と同階級での制覇。その思いは強く、こんな思いを口にした。

「至学館時代から吉田沙保里選手はレスリングだけではなく人間性もさすが金メダルだと思っていた。金メダルを取った後の人生の方が長いですし、自分も競技だけじゃなくて人間性も磨いていきたい」

 愛するパートナー、尊敬する先輩。様々な人への思いを胸に、ようやく向田は頂点に立った。